第13回 頑張り過ぎる社員 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第13回 頑張り過ぎる社員
むやみに仕事を頑張る若手社員がいる。全てが丁寧で、常に求められる以上の仕事をしようとする。聞けば、早く成長して大きな仕事を任せられたいのだという。その志は良いと思うのだが、その若手社員の上司からは、残業や休日出勤が多くなり困っているという相談を受けている。成長意欲を折らずに適正な働き方に導くには、どうすれば良いのだろうか。
“仕事熱心”と“成果”は別物
会社に来て仕事に関わる作業をすれば、勤務と見なされます。また、自宅に持ち帰って作業を行う場合も、同様に勤務と見なされます。このような時間は、本人が要らないと言っても、全て残業代の支給対象になります。
なお、部下が良かれと思い、タイムカードや出勤簿をつけないようなことを上司や会社側が黙認している場合、「黙示の残業命令」を出したと見なされてしまいます。これは、コンプライアンス上好ましくなく、結果的に、会社に損害を与えてしまうことにもなりかねません。
こうした残業を繰り返す社員は、仕事熱心のように見えますが、そもそも必要とされる成果を達成するために、他のメンバーよりも時間をかけているわけですから、パフォーマンスが低いという見方もできます。
したがって、人事部門としては、このような社員とその上司の双方に対して適切に働きかけ、改善に取り組んでもらう必要があります。