負けないマネジャーのための孫子 第19回 孫子の教えがマネジャーにもたらすもの
残念ながら、最終回です。
「孫子」の教えはマネジャーに何をもたらしてくれるのでしょうか。
総復習をしましょう。
19回にわたったこの連載も、今月で最終回となります。毎号、マネジャーの皆さんにとって有用な孫子の教えを取り上げてきましたが、総括すると何を学んできたのでしょうか。
1.原理原則を身につける
多く取り上げてきたのは「原理原則」です。森羅万象、そしてビジネスにも原理原則はあり、事前にそれを学んでおけば大過は予防できます。
例えば、第7回では成功における5つの原則を学びました。そのうち原則2の「衆寡(しゅうか)の用を識(し)る者は勝つ」は、組織の規模によって柔軟に戦略やマネジメントスタイルを変える必要がある、という教えでした。この原則を知らなければ、多くの人は自身の成功体験を基に、自分はどんなサイズの組織でもマネジメントできると過信してしまうでしょう。
また原則3の「上下の欲を同じうする者は勝つ」は、部下と価値観を共有すれば、困難な状況においても組織全体のモチベーションを維持でき、組織方針とかけ離れた部下の言動を予防できるというものでした。部下は、あなたとは異なる価値観・欲望を有する存在であることを理解する必要がある、ということです。