CASE 2 大里綜合管理 根底にあるのは会社の一途な志 “ありがとう”の心地良さが 若者のやる気を引き出す
本業とボランティアの割合が6:4。そんな異色の会社が存在した。
千葉県・大網白里市の不動産会社、大里綜合管理だ。
同社では、ボランティアを行うことで従業員のモチベーションが上がり、それが本業にも生きている。その秘訣はどこにあるのか。
社長の野老真理子氏に話を聞いた。
●理念 仕事の4割はボランティア
「みんな、集まって」。平日の15時30分過ぎ。1人の女性の呼びかけで10人ほどの社員がグランドピアノの前に集まり、スタートしたのはなんと合唱だ。女性の軽快な指揮に合わせて『遥かな友に』を歌い始める。どの社員の顔も、生き生きと輝いている―。
土地管理や不動産の売買、賃貸等を行う大里綜合管理。驚くことに、同社の業務は本業6割、ボランティア4割だという。22人の社員は、道路や駅、海岸など地域の清掃、地元の人材を生かしたカルチャースクールの主催といったボランティア活動を行っている。社屋の2階スペースは、昼は近隣住民が日替わりでシェフを務めるレストランになり、その後は学童保育施設に変わる。現在、同社で行う地域貢献活動は、283種類に及ぶという(図)。
そんなユニークな不動産会社をまとめるのが、冒頭の合唱で指揮を務めた代表取締役の野老真理子氏である。
「仕事中の合唱、おかしいですか?でも、いいじゃないですか。会社に寄ってくださる皆さん、喜んでくれますから。仕事って本当は楽しくて、かけがえのないものなんですよ。もちろん我慢や苦労が必要な面もあるけれど、決してそれだけではないはず。こんなふうにお客様が喜んでくださり、自分たちも喜びを感じられるものなら、どんどんやっていこうというのがこの会社の方針なんです」
同社には若い社員も多いが、皆、自らアイデアを持ち寄り、自主的に働いている。なぜ、こんなに高いモチベーションで働くことができるのか。
●具体策 生き生き働ける理由
理由1:「ありがとう」の心地良さを体感できる
同社がボランティアとして行う、暮らしやすい町にするための活動や、地域を活性化するための活動は、この町の魅力を高め、ひいては同社が扱う不動産の価値を高めることにつながる。地域の人たちから信頼されることで、不動産業の顧客も増えるだろう。
だが、ボランティア活動の最大の目的は、「社員教育」なのだと野老氏は言う。