OPINION3 キーワードは「理解」と「改善の継続」 グローバル若手社員に 愛される会社づくり
実は海外の優秀な若手人材が注目しているのは日本企業である―こう語るのは高度外国人材の採用に詳しい柴崎洋平氏だ。
一方で、せっかく期待を抱いて入社した彼らがモチベーションダウンし、離職してしまうケースは後を絶たない。
グローバル社員の納得感を高める、風土と人事制度の改革とは。
日本企業の魅力とは
世界は優秀な人材で溢れている。もし彼らが、日本企業で力を発揮できたなら、競争力低下や労働力不足といった、我が国の産業における課題解決も夢ではないだろう。
そこで当社では世界中のトップクラスの大学と提携し、学生たちに向けた日本企業の就職プロモーション活動、優秀な人材と企業とのマッチングなどを手がけている。さらに入社後の人材のリテンションといったフォローアップサービスも行う。
海外の学生たちとのネットワークは世界30カ国、およそ700大学に広がっているが、彼らの日本企業に対する関心度は決して低くない。複数の世界の大学ランキングでアジアNo.1のシンガポール国立大学で就活セミナーを開けば、約300人を収容できる講堂が、学生でいっぱいになる(次ページ写真)。
彼らは日本企業で働くことにどのようなモチベーションを見いだしているのだろう。それを知るには、「母国以外の国で就職する」ことが、外国人にとって当たり前ではない、という実情を理解しておく必要がある。
確かに、Googleなどのトップ企業が世界の超優秀な学生を破格の条件で採用する例はある。だが多くの海外グローバル企業では、現地法人ごとにその国の人材を採用するのが一般的だ。本社で働けるのは、現地法人で特に成果を出した、一握りの人材のみである。
一方、日本企業では採用方法が異なる。正社員になれば日本の本社に勤務する道も開ける。そうなれば母国にある拠点に、マネジャーとして派遣されるチャンスも巡ってくるかもしれない。
国際競争力の低下を指摘されながらも、日本企業のブランド力はいまだ根強い。また、中途採用が一般的な海外企業と違い、新卒一括採用を行うのも日本企業ならではの特色である。大学を卒業してすぐ有名企業に就職できる点は、外国人学生にとっては大きな魅力といえる。
冒頭で述べたように、日本企業にとっても高度外国人材の需要は増すばかりだ。今後、国内の労働人口は減少の一途をたどる。人材の母集団が縮小するということは、それだけ優秀な人材の絶対数が減るということだ。優秀な人材の確保は、企業の死活問題に関わる。国内の労働市場だけに注目していては、競争力低下は免れない。
これからは、世界中から優秀な人材を集め、彼らのモチベーションを維持、喚起していかなければ、企業経営は立ち行かなくなるだろう。