OPINION1 今どき社員の“意欲の源”とは モチベーションを上げる 「歩み寄り」と「未来志向」
組織や上司は、若者の成長のためにその“やる気”を刺激する策を講じなければならない。
しかし、若者のモチベーションは多様化しており、どうすればやる気を引き出すことができるのか、頭を悩ませる人事担当者は多い。
若手社員のモチベーション・マネジメントの方法を聞いた。
モチベーションの源泉
―働く人のモチベーションアップの実践に携わってきた立場から、現在のモチベーション・マネジメントの特徴についてお聞かせください。
菊入みゆき氏(以下、菊入)
大前提として申し上げたいのは、今の時代、もはや画一的な施策では対応できないということです。
価値観や市場ニーズも多様化する中、常識を打ち破るような創造性を発揮してもらうには、社員一人ひとりのモチベーションのスタイルを理解し、個々に適切にアクセスすることが肝要です。また、さまざまなモチベーション・スタイルの人材を活用することこそが、変化に強い組織づくりにつながるものと認識し、戦略的に取り組む必要性があります。
大内亮氏(以下、大内)
今の若手社員については、「安定志向が強い“そこそこ型”」といった声も聞かれますが、一方で情報処理能力が高く、仕事の意味や自分の役割をしっかりと理解し、取り組みたいというまじめなタイプも多い。仕事を通じ、社会に貢献したいというピュアな動機を根本に持っているのも、昨今の若手社員の特性です。
「モチベーション×知識・スキル=成果」という公式があるように、同じレベルの知識・スキルの人がいたら、モチベーションが高いほうがハイパフォーマンスを生むことも明らかにされています。人手不足も深刻化する中、若手社員のやる気を適切に引き出してこそ、組織としての高い成果にもつながるのです。
―彼らのモチベーションの源泉はどこにあるのでしょうか。
菊入
当社では、やる気を引き出す要因、つまり「モチベータ」には11 の要因があると考えています(図1)。どういった要因でやる気が左右されやすいのか、その傾向を分析し、モチベーション向上施策を構築するうえで活用しています。
企業、世代、職種、あるいは個人によっても、どの要因が強く影響するかは異なりますが、大きく2つのタイプに分けられます。
1つが内発的要因で動くタイプ。自分の内側から湧き出るようなやる気やエネルギー、例えば、1.「適職」、2.「自己表現」などへの関心が高く、これに満足感が左右されやすい傾向があります。
もう一つが、外発的要因で動くタイプ。職場の7「. 人間関係」や、9「. 環境整備」など、仕事の内容とは直接関係ない外からの刺激に影響されやすい傾向があります。