第9回 性的マイノリティーの社員への配慮 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第9回 性的マイノリティーの社員への配慮
昨今メディアなどで、「性的マイノリティー」や「LGBT」という言葉をよく見掛ける。企業でもこのような人たちも働きやすい環境にしようという取り組みが進んでいるようだ。当社でもそろそろ対応を検討したほうがいいのではという話が出ているが、具体的にはどう進めればいいのだろう。
LGBTの現状
LGBTとは、いわゆる性的マイノリティーのことで、レズビアン(L=女性同性愛者)、ゲイ(G=男性同性愛者)、バイセクシャル(B=両性愛者)、トランスジェンダー(T=性同一性障がいなど)の人たちのことを指し、日本人の5~7%の人たちがこれに当たるとされています※1。つまり、職場に20人の従業員がいれば、そのうち1人は性的マイノリティーだという計算になります。
一方、「LGBTに関する職場環境アンケート 2015※2」(虹色ダイバーシティ)によると、性的マイノリティーの当事者で職場で差別的な発言が「よくある・ときどきある」と答えた人は57%。彼らが働きやすいと感じる職場は、まだまだ多くはないというのが現状のようです。
職場でカミングアウトしていない
先のアンケート調査によると、LGBTの人が職場で性的マイノリティーであることをカミングアウトしている率は34%にとどまっており、多くの人は職場で自身の性的指向について表明していません。ゲイの人が、自分の恋人(男性)を職場では「彼女」と言い換えて同性愛者であることを隠している、というような例もよく耳にします。
LGBTへの対応が進んでいる職場に勤めていても、カミングアウトを希望しない人もいます。このことを前提に、性的マイノリティーの人たちが働きやすい環境を考える必要があるでしょう。
差別的発言はセクハラに
2014 年7月に施行された改正男女雇用機会均等法により、職場におけるセクシャルハラスメントの例に、同性に対するものも含まれるようになりました。これを機会に、性的マイノリティーの人に対する差別的発言についても、セクシャルハラスメントに該当すると認定されるようになっています。