第34回 「命をつなぐお葬式」をつくる エンディングプランナーを育む 学びの現場 中川貴之氏 アーバンフューネスコーポレーション 代表取締役社長兼CEO 他|中原 淳氏 東京大学 大学総合教育研究センター 准教授
枠にとらわれないオリジナル葬儀を提供し、葬儀業界の革命児として注目を集めている異色のベンチャー企業、アーバンフューネスコーポレーション。
同社では、多くの若手が、葬儀をお手伝いするエンディングプランナーとして活躍しています。遺族や参列者の心に残る別れの場をつくり出すエンディングプランナーたちは、どのように育っているのでしょうか。
お祭り好きだったお父さんには、祭り太鼓で送り出す葬儀を。茶道家だったおばあちゃまには、参列者全員でお茶を点てるお茶会のような葬儀を……。
アーバンフューネスは、遺族の思いや故人の人柄、生き様を汲み取り、「100人いれば100通りのお葬式」を提供するベンチャー葬儀社。首都圏を中心に提携斎場、約1200式場を擁するなど、急成長を続けています。
インターネットで葬儀を受注するなどIT企業としての側面を持つ同社で、遺族に寄り添い、感動を生む葬儀を提供する役割を担っているのが、77名のエンディングプランナーと呼ばれる葬儀担当者です。同社のエンディングプランナーの平均年齢は30代前半。新卒や他職種からの中途採用者などの若手が中心です。
エンディングプランナーは、遺族からの依頼の電話を受け、3、4日間の間に、ご遺体の搬送、安置、葬儀の打ち合わせ、お通夜、告別式の運営……といった一連の流れを、責任をもって執り行う仕事です。1人が担当するのは月に5、6件ほど。悲しみに暮れる遺族に寄り添うためには、精神的な強さが求められますし、ミスの許されない厳かな仕事でもあります。そのうえで、その人らしい葬儀ができるよう真心を尽くすため、若きエンディングプランナーたちはどのように学んでいるのでしょうか。アーバンフューネス本社を訪ねました。
思いを形にするお葬式をつくる
最初に代表取締役社長兼CEOの中川貴之さんにお話を伺いました。中川社長はもともと、結婚式関連事業を行うテイクアンドギヴ・ニーズの創業メンバーのひとり。
「『冠婚葬祭』と言われるように、結婚式もお葬式も人生の大事なライフイベント。高齢化が進む日本は、残念ながら多くの方が亡くなる多死社会に向かいつつあります。今後、2038年頃まで亡くなる人の数が増え続ける、という試算もあります。ウエディング業界での経験を葬儀業界で生かせるのではないかと考えました」と語る中川社長がアーバンフューネスを立ち上げたのは2002年のことでした。
中川社長は常々、従来の「お葬式」の在り方に疑問を抱いていたといいます。「友人の親のお葬式などに参列すると、ご遺影を見て初めて故人様のお顔を知る、といったことがあります。そんな時、『亡くなった方のことをよく知らないままお焼香をするなんて寂しい』と思っていました。その場に集まった人たちがもっと故人様への思いを持って送る葬儀ができないのかと」