CASE 1 日本ヒューレット・パッカード 仕事のしやすさを徹底追求 「カフェテリアも仕事場」 自律と協働を支える空間
東京・江東区にある日本ヒューレット・パッカード本社では、「環境を整えれば、社員一人ひとりが自然と良い仕事をする」という考えのもと、最新の設備と勤務制度の併用で社員の「仕事のしやすさ」を追求している。
社員の自律と、自在なコミュニケーションを実現する機能とは。
● 前提 快適さに価値を置く
サーバーやストレージ、ソフトウエアなどの開発・販売などを行う日本ヒューレット・パッカードの本社。正面には横十間川が流れ、川の向こうには大きな公園の木々が並ぶ。高層ビルが立ち並ぶオフィス街では味わえない開放感が魅力だ。
「Garage TOKYO」という愛称で親しまれる地上9階建てのこの社屋は、基準階面積が約6000 平方㍍と、どのフロアもサッカーコートが1面丸々収まる広さだ。
2011年、都内に5つあった拠点を1つにまとめ、この地に移設した意図とは。管理統括GRE 本部総務部長の髙山源一氏は、次のように語る。
「M&Aを重ねてきた歴史もあり、過去には都内だけでも30を超える拠点がありました。これらをまとめていく過程で、“場所”にお金をかけるのではなく、少し不便な場所であっても、仕事空間における“快適さ”に十分な投資をしたいと考え続けてきました」
「自社ビルだからこそ実現できた」(髙山氏、以下同)という、快適さを追求した工夫の数々を紹介しよう。
● 制度 柔軟な働き方を導入
1階中央のエントランスを抜けると、フリースペースが広がる。真ん中には、円形の大きなソファがゆったりと配置され、まるでカフェのような空間だ。大きな窓と吹き抜けから得られる自然光で、天気が良ければ十分に明るい。
コーヒーショップとコンビニエンスストアも併設され、何人もの社員がコーヒーを飲んだり軽食をとったりしながら、ノートパソコンを開いている。全館に無線LANが敷かれ、どこにいてもネットワークに接続できるのだという。
同社では、業務の性質に合わせ、社内のどこでも自由に仕事をする席を選べるフリーアドレス制を採用している。
「この制度の対象は、固定席を必要とする業務が80%に満たない人です。ほとんどの社員は、会議など離席の機会があるので、これに該当します」
また全社員を対象に、週に最大2回、月間で8回、オフィス以外での業務を認めるFWP(フレックスワークプレイス)制度を設けている。勤務時間は、1カ月単位で算出するスーパーフレックス制が適用される。