ID designer Yoshikoが行く 第100回(最終回) 話題の言葉で振り返る 100 回の軌跡
この連載が100 回を迎えると聞いて、「えっ? そうなの?」とビックリした、まことにのんきな筆者である。そして最初に頭に浮かんだのが、「100回分って、どんだけぇ~?」という疑問だ。
「そうだ! 掲載誌を全部積み上げたら、成果が見える化できるじゃん!」
すごく、すてきなことを思いついた喜びに、夢中になって積み上げた99 冊の高さは約60cm。その「『人材教育』の塔」を眺めながら、とっておきのシャンパンを開けて、「よく話題が尽きなかったなぁ」と悦に入るのだから、のんきにもほどがある。
で、グラス片手に掲載誌を読み始めたら、なんと「アルバム整理のドツボ状態」にはまってしまった。毎回毎回、世界のあちこちでいろんな人に会い、ビックリしたり感激したりする様子が、おかしくって面白くってたまらないのだ。って、自分で言うかな?
何しろ、ロンドンでは「女王陛下のeラーニング」を開発するイギリス紳士とアフタヌーンティーを楽しみ、ベルリンではテニスのコーチとラリーをしながら「戦略的、科学的、哲学的なコーチング手法」を学び、ケニアではマサイ族の高校教師たちとサバンナの風に吹かれながらアクティブ・ラーニングについて語り、ドイツ国家マイスターのパティシエのお菓子を味わいながら、伝統的な徒弟制度が実は合理的で自律的な才能開発のシステムであることに感動し、中国の若きエリートたちにウケている軍隊式のブートキャンプ研修で筋肉痛になり、ガーナの国家公務員とAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を踊りながらモチベーション設計を教え……。
こんな風に「ID designer Yoshikoが行く」と前のめりに駆け抜けた8年と4カ月。100 回のアニバーサリーを記念して、今回ばかりは「IDdesigner Yoshikoが振り返る」でいってみたい。
今に続くキーワードたち
さて、最初の原稿が掲載されたのは2007年6月号。
日本で「宮崎をどげんかせんといかん!」と叫んだ人が知事になり、米国で「地球温暖化をどげんかせんといかん!」と主張する元副大統領アル・ゴアが制作した映画『不都合な真実』が日本で公開され、話題となった年だ。「ハニカミ王子」と「干物女」が注目を浴びる日本から、フロリダ州オーランドに向かった私は、「評価の天才」と世界中の教育関係者が敬愛するドナルド(ドン)・カークパトリック博士のワークショップで、目からうろこの一言をもらった。
「何のために評価するの? 研修プログラムが素晴らしくて、テストの成績がよければ、それで満足?」