負けないマネジャーのための孫子 第13回 基本の原理原則を大切に
人は時に独創的なことをしたくなるもの。
しかしマネジャーはその衝動を抑え、基本を愚直に実践し続けることが大切です。
地味な「基本」を見直す
右ページ上部の今月の教えで言う「正」、つまり「基本」を大切に、とは誰もがよく耳にする言葉ですが、継続的な実践は本当に難しいものです。
その理由は何でしょうか。まず、“基本”には単調なものが多く、変化を好む人や頭の回転が速い人、忍耐力の乏しい人には苦痛なのです。
そして地味であること。地中に埋もれた建築物の基礎のように、人の目に触れることがないので、普段はその価値を評価してもらえません。
例えば、板前の世界では、基本を会得するために10 年以上に及ぶ修業が必要と言われていますが、それに耐えられない若者が増えたため、期間を短縮せざるを得ないケースが増えているそうです。
一方の「奇」、“応用”は制約が少なく変化に富み、基本より楽しく、魅力的に見えがちです。
このように敬遠されやすい「正」ですが、基本があればこその応用です。建築物ならば基礎部分、樹木ならば根幹がしっかりしていればこそ、厳しい状況に陥っても安定して、全体を維持できるのです。