おわりに 課題は「古い慣例」にあり? 戦略を成功に導く3つのカギ
特集冒頭で、戦略人事における3つの壁を紹介した。
1.日本企業独特の属人的な人材マネジメント
2.形ばかりで浸透しないダイバーシティ
3.現場と乖離し、信頼関係を築けない人事の現状
改めて順に振り返ってみたい。
「日本企業の人材プールは人事部長の頭の中にある」。ずばり指摘したのはOPINION 1 .平野光俊氏(26ページ)だ。
年功序列は廃れてきているが、“順送り”の考え方は日本企業の中に根強く残る。次世代リーダーと目される人材の情報も、順次、各事業部門から人事部長のもとに集められていた。
だが経営環境の変化、グローバル化に伴い、従来の方法を見直す動きが広がっている。事業戦略から必要なキーポジションを抽出し、その要件を明確化したうえで、候補者を育成する、という手法が注目されているのだ。
実現するにはこれまでの曖昧で定性的な人材情報では不十分だ。キャリア、評価、コンピテンシー、パフォーマンス、強みや弱み。あらゆるデータをオンラインで管理し、「人材ブロック図」で可視化、適材をスピーディーに選抜する仕組みも徐々に普及しつつある。