巻頭インタビュー 私の人材教育論 現場で磨く“目利き力”が ワンストップのグローバルサービスを可能に
ITのワンストップサービスを追究する日立システムズは、データセンターやコンタクトセンター、セキュリティオペレーションセンター、全国のサービス拠点などのサービスインフラを生かし、
顧客企業ごとのニーズに応じたシステムの構築・運用・監視・保守に当たる。
同時に、「グローバルサービスカンパニー」を標榜し、アジアや欧米にも進出中だ。
日立システムズグループ約1万8000名を率いる髙橋直也氏に、発足以来の人事ポリシーや人財の育て方・磨き方について聞いた。
興味、アンテナ、意欲
─めざす姿として、「ITのワンストップサービス」を謳っておられますが、この言葉通り、事業領域や裾野がとても広いですね。
髙橋
川上から中流にあたる導入のコンサルティングや設計・構築、運用から、川下に位置する保守やヘルプデスクまで、ITのライフサイクル全般にわたるエンド・トゥ・エンドのワンストップサービスをめざしています。
ただ売って終わりではなく、サービス導入後のアフターサービスやフォローにも重きを置き、付加価値を連鎖していく。そのために、データセンターやコンタクトセンターなどのサービスインフラ運営にも力を入れています。
─顧客ごとにITインフラは異なり、ニーズもさまざまです。付加価値を次々と生んでいくのは大変ではないでしょうか。
髙橋
約1万8000名の社員(連結)が、一人ひとりに与えられた役割を全うしなければ、付加価値の連鎖は成し遂げられません。決められたことや顧客から求められたこと以外の、改善すべきことをいかに見つけ、形にしていくかが勝負なのです。
そのためには、常に物事に興味を持つと同時に、四方八方にアンテナを張り巡らせ、かつ具体的なサービスにまで落とし込むという意欲が必要です。そして、そうした姿勢は、デスクを離れて他部署や顧客といった「現場」と密に接することで培われるものです。
顧客や社会のニーズをよく目利きし、商品化に向けた仮説構築と検証を繰り返す。この「現場力」と「目利き力」を持つ人こそが、当社の求める人財像と言えます。
─具体例として、この7月に、マイナンバー制度に対応したアウトソーシングサービスの販売を開始しました。どのような体制で開発したのですか。
髙橋
当社では、地方自治体に対し、マイナンバー制度の導入を支援するソリューションの経験とノウハウがありました。2016年1月からのマイナンバー制度運用開始に伴い、民間でも必ず需要があると考え、本部長1名の下に開発のキーパーソン4、5名を配しました。
その他、必要に応じてデータセンターやコンタクトセンター、セキュリティの関連部署等がたすきがけのチームを組み、約2カ月でまとめ上げました。
ニーズや商材の種を目利き
─自治体向けの経験や蓄積があったとはいえ、2カ月での開発とは驚きです。
髙橋
こうした「スピード感」も、当社が共に働く人財に求める大切な要素です。
マイナンバーは特定個人情報であり、各企業は「安全管理措置義務」を負います。社員やその扶養家族に加えて、パート従業員や外注先の個人事業主等のマイナンバーも管理する必要が生じます。現場からの、「多数のパートさんを抱える小売店等は日常業務で手一杯のうえ、特定個人情報の管理というセキュリティの面からも外注サービスを利用したいはず」といった声から、開発に至りました。