人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~ 第36回 「ヒューゴの不思議な発明」川西玲子氏 時事・映画評論家
「ヒューゴの不思議な発明」
2011年 アメリカ 監督:マーティン・スコセッシ
雰囲気のある、情緒を感じさせる映画だ。日本人は雰囲気をとても大切にする。空気を読むのも、場の雰囲気を大切にするからである。それがしばしば会議を空回りさせ、結論を曖昧にする。
物語の舞台は1930年代のパリ。博物館学芸員の父親を火事で失った少年・ヒューゴは、大酒飲みの叔父に引き取られ、モンパルナス駅の時計台に隠れ住むようになる。
だが、叔父はいつの間にかいなくなってしまう。ヒューゴは叔父の代わりに時計台のネジを巻き、孤児を見つけては施設に送り込む鉄道公安官の目を逃れ、駅構内のパン屋から食料を盗み、ひとりで生きている。
そんなヒューゴの心の支えは、父親が直そうとしていた機械人形だった。ある日、駅構内のおもちゃ屋で機械人形を動かすために必要な部品を盗もうとしたところを、店主のジョルジュに見つかってしまう。そして、大事にしていた手帳を取り上げられてしまうのだ。