OPINION1 “しっかりやれ!” では全くダメ フィードバックのコツは“行動”にあり
フィードバックをしているつもりでも、その方法を間違えていたら、
効果は期待できない。効果を左右するものとは何なのか。
「行動科学マネジメント」を提唱する石田淳氏に聞いた。
行動科学マネジメントとは
私が提唱している「行動科学マネジメント」は、人間の行動を科学的に研究する“行動分析学”をベースにした人材育成メソッドだ。
なぜ行動に着目するのか。その答えは極めてシンプルである。あらゆるビジネスの成果は、一人ひとりの“行動の積み重ね”によって生み出されているからだ。
成果を向上したいのであれば、そこに至る過程、つまり行動を変える必要がある。成果につながる“望ましい行動”を繰り返すことができれば、おのずとよい結果が生まれるし、行動が間違っていたら、結果は伴わない。そこには、本人のやる気や根性は関与しない。結果を左右するのは、あくまでも“行動”だ。
よって、ビジネスリーダーが果たすべき任務は、成果につながる“望ましい行動”を見つけ出し、それを部下に確実に身につけさせ、本人がそれを自ら進んで繰り返し続けるように支援することだ。これが実践できれば、今は十分に能力が発揮できていないように見える人でも、着実に成果を上げ、働く喜びを見出せるようになる。
フィードバックは働きかけ
さて、今回のテーマ、「フィードバック」だが、その定義は人によってバラバラに見える。中には怒鳴ることがフィードバックだと思っている人もいるが、もちろん違う。
行動科学マネジメントの視点で言えば、フィードバックとは“相手の行動を変えるための働きかけ”である。「その行動はダメだ。今後はやらないように」「その行動はいいぞ!」などと、行動に着目して指摘する。さらに、一連の動きの中で“望ましい行動”が抜けている、あるいは望ましい行動とはどんな行動なのか理解できていない場合は、その方法を正確に教え、完全に習得するまで何度も訓練する。そうして、自発的に望ましい行動を取れるようになるまでフォローすることである。
3つのポイント
では、そんな“行動科学フィードバック”を行うにはどのような点に注意すべきか。
①行動をプロセス分解する
1つめは、“仕事のプロセスを分解”することである。これができていなければ、望ましい行動を割り出すことは不可能だ。当然、適切なフィードバックなど行えるはずがない。