Column2 ~日本ラグビー界のリーダーに聞く ~ 世界で勝てる選手の要件と育て方
多くの日本人スポーツ選手が海外で活躍するようになって久しい。
スポーツの世界、それも国際的な舞台で日本人が結果を残すためには、どんなマインドセットが必要なのか。若い頃から育成できることとは。
自身も現役時代、海外でプレーした経験を持ち、現在はラグビー界の人事や次世代の選手の育成を担う、岩渕健輔氏に聞いた。
ラグビー界のダイバーシティ
私は2012年から、日本ラグビーフットボール協会で日本代表チームのジェネラルマネージャー(GM)を務めています。2016年のリオ五輪から正式競技となる7人制(※)と女子のチームも含め、全ての「日本代表チーム」の強化に関する編成と人事を任されています。
日本のラグビー界はこれからの数年間、非常に重要な期間を迎えます。
15人制のほうは、今年9月にRWC(ラグビーワールドカップ、以下略)のイングランド大会が開催され、4年後の2019年には、アジア初となるRWCがこの日本にやってきます。7人制は2016年のリオ五輪を経て、2020年の東京五輪へとつながっていきます。
こうした中、現在の日本代表チームのスタッフには、オーストラリア人のヘッドコーチ(監督)をはじめ、イギリス人やフランス人がいて、選手にはニュージーランド、オーストラリア、トンガの出身者がいます。まさにダイバーシティであり、彼らを交えた「日本代表」が世界を相手に戦っているのです。
多くのスポーツでは、その国の国籍を取得しないと代表チームに入れませんが、ラグビーの場合、その国で3年間プレーするなど一定の条件を満たせば代表チームの一員になることが認められています。ニュージーランドやイングランドといった強豪チームでも、その国のネイティブではない選手が活躍していることも多いのです。
多様な背景を持つさまざまな国の出身者が、母国ではない国の代表として誇りを持って戦う。これがラグビーの魅力の1つでもあります。
まずはコミュニケーション
そして、野球やサッカーのように、ラグビーでも日本人選手が数年前から海外で活躍するようになりました。
「スーパーラグビー」という、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカのクラブチームが戦う南半球のリーグでは、2015年のシーズンは6人の日本人選手がプレーしていますが、試合にコンスタントに出られなくて苦労している選手が多いのが現状です。単純に実力だけではなく、人間関係にも問題があるのです。