OPINION1 「グローバル人材育成」は特別か否か?! 鍵はコミュニケーションレベルの違い
「グローバル人材育成」は、通常の人材育成と異なるのか。
異なるのなら、どのようにすればその要素を育成できるのか。
長年、日本企業の内外からグローバル人材育成に携わり、日本の企業文化にも詳しいブライアン・シャーマン氏に聞いた。
グローバル人材=特別ではない
グローバル人材の育成は日本企業にとって今、大きな課題と言われる。人事セミナーに参加すれば、グローバル人材の育成が独立したテーマになっていることも多い。しかしなぜ、それほどグローバル人材の育成を国内の人材育成と分けて特別視するのか、私には違和感がある。
優秀なグローバル人材となるには、まず国内で優秀な人材にならなければならないと思っている。そうした意味で、むしろ考えるべきはグローバル人材の育成ではなく、「世の中で通用する人材」の育成ではないだろうか。日本人同士の間でもうまく仕事を進められないような人材をグローバル人材にしようというのは、土台無理な話である。グローバル人材の育成は、国内の人材育成と異なる特別なものではなく、その延長上にあるものだからだ。
実際、ビジネスでも何でも、世の中を「国内」と「グローバル」で明確に分けることはできなくなっている。国内にいても海外の情報は日々流れており、今や取引先が海外にあることも珍しいことではない。そうした中で人材育成を考えるには、まずは「日本=ドメスティック、海外=グローバル」という意識から脱却することが大切だ。
育成すべき3つの要素
では、「世の中で通用する人材」に求められる能力や要素とは何だろうか。私は、次の3つだと考える。
①自分が何者かを説明できる力
②“阿吽(あうん)”ではないコミュニケーション
③専門分野を持つ
①自分が何者かを説明できる力
まず、初対面の相手に対して、自分にはどのような強みがあり、どのような形で貢献できるかを相手にアピールできる力だ。これは国内外を問わず重要なことで、特にグローバル社会では、これができないと「この人は使えない」と判断されてしまう。