ID designer Yoshikoが行く 第96回 ビジネスはアート! アイデアを生む「手書き」と文具
お風呂の中でもタブレットを手放せないデジモノ大好き人間なのに、なぜかアイデアをひねり出す時だけは、アナログにノートとペンでお絵描きしないと、いい発想が浮かばない。そんな私が愛用しているのが、アンディ・ウォーホルの「アイデア・ブック」というノートだ。
「なんだノートか」と侮るなかれ!オレンジとピンクの地色に、大きなブルーの瞳が描かれたポップな表紙を見るだけで気分がアガるのだが、「アイデア創出ツール」としても大層なスグレモノなのだ。
スグレモノである理由
まず、表紙が硬めで、コーティングされていること。
よいアイデアは、散歩をしている時か、シャワーを浴びている時か、トイレの中でホッとしている時にひらめくもの、といわれる。しかし、柔らかい表紙だと、歩きながら、あるいは濡れた手で書くのは心もとなく、オロオロしている間にひらめきが消えてしまう。その点、強度のある表紙に守られたノートなら、いつでもどこでも広げることができる。
次に、紙が上質で厚みがあること。不思議なことに、細くて黒い万年筆ではありきたりの文章しか書けないのに、赤や緑の太めのサインペンを使うと、大胆な発想が浮かぶ(ウォーホルもカラフルなペンが好きだったらしい)。紙質も、薄くて裏写りしたり、滑りの悪い紙だと、あふれ出るアイデアをスムーズに描くことができない。