TOPIC MALLラーニングイベントレポート 社会課題解決 × リーダー育成 2つの課題に同時に挑む異業種研修
2015年3月、東京でイベント、「異業種越境型『リーダーシップ研修』をいかにデザインするか?
『丘の街』美瑛で展開する次世代型リーダー養成スクールの衝撃」が開催された。
これはヤフー、インテリジェンス、アサヒビール、日本郵便、電通北海道の5社共同で去年行われた、地域課題解決を通じたアクションラーニングにより次世代リーダーの育成を図る試みの報告会である。
当日の模様を紹介する。
【はじめに】リーダー候補が地域課題に挑む
この日のイベントは、3部構成で展開。発案者や運営の中心メンバーらがプロジェクトを立ち上げた背景や運営上の仕掛けを語る他、参加者によるトークセッションが行われた。
これらの話の前に、プロジェクトの監修を務めたMALL代表理事の中原淳氏(東京大学)より、今回のプロジェクトの特徴と美瑛での実施内容が伝えられた。
①プロジェクトの狙い
この研修では、業種の異なる5社の幹部候補、次世代リーダー人材が中心となってチームを結成し、「課題先進地」といわれる地方都市の課題解決策を提案する。
参加者の提案により、地域住民だけでは解決できなかった課題への対応策を開拓できると同時に、異業種というダイバーシティ環境でのアクションラーニングを通じて、参加者のリーダーシップやフォロワーシップを開発できるのが特徴だ。さらに、経営層にコミットしてもらい、「研修参加者の経営への参画意欲を高める」ことも狙いの1つだという。
また、参加企業各社の人事担当者が研修をつくるプロセスを学ぶことができるのも大きな特徴だ。
中原氏の監修のもと、コンセプトやカリキュラムといった研修設計から、宿泊や弁当の手配などの事務、さらにファシリテーションや参加者のチームの状況の確認など、円滑な運営に必要な役割の全てを人事担当者たちが担った。
②今回の研修の概要
今回の課題の舞台となったのは、北海道美瑛町。北海道のほぼ中央に位置し、人口は1万人強。美しい「丘のまち」として知られるが、他の地方都市と同様、農業、医療、教育などさまざまな面で問題を抱えている。
参加企業5社の次世代リーダーと美瑛町役場、商工会、観光協会の職員らを加え、異業種混成で6チームをつくった。各チームは「美瑛の課題を発見し、その解決策を町に提案し、採用されること」というゴールをめざし、課題に取り組んだ(図)。
キックオフは昨年の5月。5カ月後の10月に、美瑛町長と町民の前で最終プレゼンテーション発表イベントが行われた。
それぞれのチームは、落ち込みの目立つ冬期の観光客誘致のアイデアや、人口減少に歯止めをかける案などを発表。それぞれの提案は概ね採用となり、さらに一部は実現されるなど、一定の成果を得た。
また、リーダーシップ研修としての効果は、実施前後の効果測定で、イノベーション志向性、リーダーシップ、経営的な目線の高まりなどが見られたという。「他社の人と話す中で、自分のスキル不足を感じた」など、社内研修では困難な気づきを得た参加者もいた。
【第1部】プロジェクトがめざしたもの
このパートでは、発案者のヤフーピープル・デベロップメント統括本部長の本間浩輔氏が登壇。この研修を始めたきっかけから語り始めた。