第3回 介護と仕事の両立 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第3回 介護と仕事の両立
当社は40・50 代のベテランが主力。両親の介護と仕事の両立を心配するメンバーも増えており、離職を考えている人もいるようだ。介護休暇などの制度があることはあるが、あまり本格的に活用されていない。介護が理由の退職は、やむを得ないことだが、実際、主力の働き手が抜けてしまうのは、会社や現場にとって厳しい。どう考えればいいだろうか。
高齢化が進む日本社会。対策の1つとして介護保険制度が導入され(介護保険法が2000年より施行)、徐々に介護サービスも充実してきていますが、家庭での負担はまだまだ小さくありません。
平成24 年の就業構造基本調査(総務省統計)によれば、15才以上の人口1億1081万人のうち、約5%に当たる約557万人が介護に関わっています。そのうち有業者は約290万人で、仕事を持ちながらの介護が52%を占めています。年齢別では40 ~ 64 才が占める割合が76%、そのうち男性が45%、女性が55%で、男女共にベテラン世代の働き手が介護負担を抱えています。このような背景から、国は、「育児・介護休業法」※1を中心に、介護をしながら働く人を支援する制度をつくっています。
法律が定める支援の中身は
「育児・介護休業法」では、介護負担による休業・休暇についての制度を定めています。有業者の父母・配偶者・子、配偶者の父母、あるいは同居しかつ扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫が2週間以上の常時介護を必要とする状態になった場合、介護者は介護休業をのべ93日まで、介護休暇を年間5日まで取得できるとしています。
その他、家族の介護を行う労働者が請求した場合、事業主は、時間外労働や深夜残業の制限・勤務時間の短縮に応じる必要があることや、介護を行う労働者に対して不利益変更を行わないこと、転勤させる時には介護状況に配慮することなども、事業主の義務として定めています。