CASE 2 コクヨ 異業種コラボで多様な出会い 企業と学生の視野が共に広がる
「文具をつくる会社」―。
コクヨでは、そんな企業イメージから応募者が偏ったり、入社後にミスマッチが起こることがあったという。
しかし、対話を重視した採用や異業種企業と共にインターンシップを行うことで、さまざまな学生との接点が広がっている。
●背景 「コクヨ=文具」という誤解
コクヨでは採用とインターンシップに独自の工夫をしている。
「当社は文具メーカーというイメージが強い。そのため、文具の企画・マーケティングをしたいという志望動機の学生さんが多いのです。まずそこをどうにかする必要を感じていました」。こう語るのは、コクヨ経営管理本部人事総務部 採用育成グループの瀧本和幸氏だ。
同社にはステーショナリー関連事業、ファニチャー関連事業、通販・小売関連事業の3事業があり、売上規模はほぼ同等。配属もほぼ同人数である。そうなると、事業内容をよく理解したうえで、「どの部署に配属になるかわからない」という現実を理解してもらわないと、入社後のミスマッチにつながりかねない。
まず採用の内容を見てみよう。総合職には事務系、技術系、建築系、プロダクトデザイン系の4つのコースがある。合計の採用人数は30 ~ 50人だ。その大半は事務系(2014年度実績で約30人)である。
職種としては、事務系の場合、3部門それぞれの商品企画・営業・生産管理・スタッフ業務など。文系学生だけでなく、理系学生も受け入れている。
技術系・建築系・プロダクトデザイン系は、合わせて10人程度(2014 年度実績)の採用で、技術・建築系は商品開発業務、プロダクトデザイン系は工業デザインが主な業務だ。
全コースに共通する課題としては、先述の通り、「文具以外の事業の認知度が低い」「文具のイメージが強いため女子の応募が多い」が挙げられる。
コクヨとしては「よりバランスのよい採用」が、学生側としては「事業全般をもっと知り、納得したうえでの入社」が求められているのが現状だ。
●採用の工夫 “対話”で成長支援
そこで実践しているのが、“なるべく多くの応募学生と直接対話する”こと。背景には同社の事業を知ってもらうと共に、「自分のやりたいことを実現できるか」「強みを発揮できるか」という観点からコクヨを選んでほしい、という思いがある。
具体的にどのような対話の場を設けているのか。2014 年度の採用プロセスを追いながら見てみたい。
事務系の場合、まずエントリー・シートを直接受け付けて、適性検査を行った後、社内で選考。学生と採用担当者の1対1で一次面接を行う。