OPINION3 企業が“キャンパス”になる 大学とつながり新卒人材の底上げを
新卒人材に対して求められる要件は、年々高度化している。
しかし、人口減少と共に大学全入の時代が到来。
新卒人材は質、量いずれも低下傾向にある。
インターンシップで学生の質を底上げすれば結果的に採用者のレベルアップにつながる―アクセンチュアの大崎邦彦氏が語った。
新卒人材の戦略的な採用を
新卒人材の質の底上げは、あらゆる企業における共通課題だ。
確かに新卒採用をめぐる状況が変化する中、中途採用を積極的に展開する企業が増えつつある。しかし、大手企業にとって、新卒採用の重要性は依然として変わらない。
そこには3つの理由がある。1つめの理由は、日本の企業では人材力や競争力を主に新卒人材が担ってきたこと。この歴史を覆すのは簡単ではない。2つめは、中途採用より新卒採用の人材のほうが帰属意識が高い傾向があり、こうした人材を中心に企業文化が形成・伝承されやすいこと。3つめは、会社の核となる人材は新卒から育て上げるほうが効率的である、という点だ。
海外などでは優秀な人材を中途採用し、幹部に登用していると思われがちだが、GEやP&Gなどでも、幹部人材は新卒から戦略的に育成した生え抜きというケースが多い。
実際、優秀な人材をタイムリーに外部から採用し、組織内で戦力化するのは、大手企業でも難しい。若いうちから歳月をかけて育成するほうが、現実的で効率的なのだ。
大学を人材育成の“畑”に
そう考えると、新卒人材の選考がどれほど重要かわかる。ビジネスの基本を身につける力、次のステップに進む能力、つまり成長力を、選考時に見抜かねばならない。
近年、特に求められるのは、「グローバル化とデジタル化に対処できる人材」である。といっても、大手企業の人事役員、部長は、英語力やITリテラシー、財務知識といった具体的スキルばかりを重視しているわけではない。
肝心なのはグローバル化やデジタル化を意識しつつ、前向きに働く就業観だ。「働くことは社会人としての責務であり、自己実現の手段でもある」と捉えられるか。仕事をポジティブに捉える資質があるか。さらに、「与えられた問題を解決するだけでなくそもそも何が問題なのか考え、問題設定できる」、といった力も必要になる。こうした“土台の能力”はなかなか促成栽培が効かない。