OPINION2 「採用力」を上げる 育成目線のインターンシップ設計
近年、増加傾向にあるインターンシップ。
しかし、「人が集まらない」「参加者の満足度が低い」など、悩みを抱える企業もある。
求められるターゲットの定義やプログラムについて、新卒採用メディアで知られるジョブウェブの新治嘉章氏に話を聞いた。
経団連の非会員である外資系企業やベンチャー企業の中には、すでに採用活動に一定の目処がついているところも少なくない(2015年4月現在)。しかし、会員企業や、学生にとって知名度があまり高くない企業はどうか。
広報活動が3月からと後ろ倒しされたため、企業研究に十分な時間をかけられない学生もいるだろう。その結果、一部の大企業に注目が集まる一方、「インターンシップに人が集まらない」「大企業の内定を得た学生が辞退する」といった企業が続出する可能性もある。
つまり、「質の高い学生を獲得できる企業とそうでない企業」という、採用の2極化が進むことが予測される。予定通りに獲得できない企業は、採用活動の長期化を迫られることになりそうだ。
ターゲットの定義を
こうした現象の本質的な原因は、企業の「採用力」の差にあるのではないかと私は見ている。ここでいう「採用力」は、「企業力」に加え、「採用マーケティング力」と「採用コミュニケーション力」の3つの要素によって決まる(図1)。
このうち、採用マーケティング力と採用コミュニケーション力は、採用活動の内容により変動する。中でも、採用マーケティング力は、採用したい学生(=ターゲット)に対し、効果的な手法で自社の認知度を高め、興味や関心を引きつける(=インターンシップや会社説明会に応募させる)力であり、採用活動の根幹を担う要素といえる。
この力に大きく影響を及ぼすのが、求める人材像を明確にし、絞り込むこと、つまり「ターゲットの定義」だ。どのような学生を採用したいかが明確になれば、ターゲットへの訴求を意識した戦略的な広報が可能となる。すると、母集団の規模が小さくなっても質が向上するため、よりよい人材の獲得につながる。
「ターゲットの定義」は、採用選考に限らず、インターンシップの設計でも重視すべき要素である。その精度のよしあしがインターンシップの成否を決めるといっても過言ではない。
人物像をクリアに
ところが現実は、多くの企業においてターゲットをクリアに定義できていない印象を受ける。ありがちなのが、出身校、文系・理系、性別といった「属性」による振り分けだ。しかしこの方法に頼れば、母集団の規模が大きくなり、人材の見極めより、絞り込みに労力を費やすこととなってしまう。インターンシップの参加者もただ増やせばよいというわけではないだろう。