OPINION1 “リアル”を伝え合う設計を 学生が望む 「成長できる」インターンシップとは
企業と学生がお互いに本音を出さない中、進められる採用・就職活動。
リアルな職業観を培い、適切なマッチングを行うのはなかなか難しいのが現実だ。
そこで見直されているのがインターンシップである。
事実上、早期の採用活動となっているものから純粋に教育的なものまで、さまざまなインターンシップが行われているが、果たして問題解消の有効な手立てとなるのか。
そしてその先の育成に活かすためにはどうあるべきか。
「採用学」で知られる服部泰宏氏に効果的なインターンシップのあり方について聞いた。
2016年問題の影響
2016 年採用では、倫理憲章を遵守する企業以外は、恐らく5、6月頃に選考、7月に内々定といったスケジュールで動くことになるだろう。そうなると、例年よりも極端に選考期間が短くなるため、企業は短期決戦を強いられることになる。
短期決戦となると、学生を集められる有名企業は有利だが、そうでない企業は、苦戦が強いられる。そこで、より早期に直接学生にアプローチするための方策のひとつとして、インターンシップが注目されている。
といっても、採用方法に関して劇的な変化が起こっているわけではない。他社の様子を横にらみしつつ、全体の予算から就職支援サイトにかける割合を少し減らす。かわりに、インターンシップをはじめ、その他の手法を探る、といった状況のようだ。
実際、大学のキャリアセンターには、例年以上に企業からの電話が多くかかってきている。内容はインターンシップや説明会などについてで、さまざまな手段で積極的に学生へのアプローチを行っていることがわかる。
学生のほうはどうか。多くは、採用広報が解禁になった3月から「説明会にエントリーしなければ、乗り遅れてしまう」と一斉に動き出す学生たちだ。しかし、一部では、優秀な学生を中心に、自分なりの就職活動のやり方を選ぶ新しい流れもある。
この新しい流れは、大きく3層に分かれている。動きの早い「前のめり層」と、スケジュールは後ろ倒しになったのだからと慌てない「のんびり層」、もはや就職支援サイトへの登録もやめて、自分から企業にアプローチする「独自ルート層」だ。
「前のめり層」は3年生の夏から1、2日の短期のインターンシップなどにまめに参加している。「のんびり層」は「7、8月まで選考が延びたのだから、むしろ今やれることをしっかりやっておこう」と留学したり、大学での研究に精を出したりする。
さらに数は多くないが、自分から企業に直接働きかける「独自ルート層」も増えてきている。「学生ベンチャーでの経験を御社で活かしたい」などとアピールするタイプだ。
このように、今後は就活生の行動パターンが多様化する傾向が強まるだろう。こうした流れを受け、就職支援事業者にも変化の兆しが見られる。採用の王道であった就職支援サイトは、年々、登録者数が減少し、学生離れが顕著になってきている。事業者の中には、この状況に危機感を持ち、インターンシップ企画の支援サービスなど、新たな採用支援のあり方を探っているところもあるようだ。