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いまだに課題、グローバル経営を担うリーダー育成 2014年度 第36回 当面する企業経営課題に関する調査
●日本能率協会
2015 年1 月、日本能率協会は、「2014 年度 第36 回 当面する企業経営課題に関する調査」の結果を発表した。この調査は1979 年から毎年実施しているもので、今回の調査テーマは「事業開発」と「組織人事」の2分野。調査対象は日本能率協会会員企業1330 社の経営者もしくは経営幹部で、事業開発編は279 社、組織人事編は294 社から回答を得た。
調査によると、事業開発編では事業創造が大きな経営課題となっていることがわかった。
国際競争力の視点から見た事業創造活動と、技術の革新性についての競争力の自社評価を問う設問では、26.5% の企業が「技術の革新性はあるが、事業創造力は不足している」、31.5% が「技術の革新性および事業創造力とも不足している」と回答。約6 割が「事業創造力は不足している」と捉えている結果に。一方、技術の革新性については、8.6% が「技術の革新性があり、事業創造力も優れている」、26.5% が「技術の革新性はあるが、事業創造力は不足している」と回答しており、3 割強の企業が自社技術の革新性を評価。国際競争力に自信がある企業はまだ少なく、事業創造力の不足を認識している企業がかなり多いという実態がわかる。
事業創造活動を推進するうえで、阻害要因を問う設問では、「市場」「顧客」「ビジネスモデル」「技術」「組織」の中で組織要因とビジネスモデル要因に関する課題を挙げた企業が多く、特に「人材不足」が深刻な様子がうかがえる。「事業創造を牽引する人材が十分ではない」(75.2%:「よく当てはまる」と「ある程度当てはまる」の合計、以下同)が突出しており、続いて「既存のビジネスモデルへの固執が強すぎる」(62.8%)、「事業創造に必要な社外リソースの活用が十分でない」(61.7%)、「事業創造に必要な社内リソースの活用が十分でない」(57.7%)、「市場や顧客ニーズにマッチしたビジネスモデルの構築が十分にできない」(57.7%)と続く。
また、組織人事編の調査では、グローバル人材の不足が指摘されて久しいが、いまだに大きな課題であることがわかった。「グローバル展開を進めていくために必要な人材」「海外現地法人をマネジメントできる“日本本社”の人材」「海外現地法人をマネジメントできる“海外現地法人”の人材」について問う設問では、それぞれ約7 割の企業が不足感を持っているという結果に。グローバル人材の不足感が高い中にあって、地域で見た場合、アジア(中国を除く)が、他地域に比べてわずかだが充足感が高い。
全社における経営課題は「人材の強化(採用・育成・多様化への対応)」がトップに。2009 年以降、1 位2 位に挙げられていた「収益性向上」「売上・シェア拡大」を、僅差で抜く結果となった。
組織人事領域の経営課題は、2006 年以降「管理職層(ミドル)のマネジメント能力の向上」がトップ。また、今年は全社の経営課題の動きに伴い、グローバル関連テーマも急浮上している。「グローバル経営人材の育成・登用」(2013 年21.0% → 2014 年29.6%で8.6 ポイント増)、「人材の多様化・ダイバーシティの促進」(2013 年8.3% → 2014 年26.5% で18.2 ポイント増)となった。