JMAM 通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 カルビー トップ自ら“学びの大切さ”を伝え、自立人財の育成に通信教育を活用
継続的成長と高収益体質を実現し、グローバル食品企業をめざすカルビー。
長い歴史を持つ同社は2009年に経営体制を刷新。
社員の自主的な学びこそ組織の成長の源だとして、通信教育を中心とする自己啓発の重要性を社内で改めて周知徹底。
社員の学びを支えるさまざまな施策に取り組んでいる。
新生カルビーが求める自立
かっぱえびせん、ポテトチップス、じゃがりこ等、数多くのヒット商品を持つスナック菓子業界の最大手、カルビー。長い歴史を持つ同社は、2009年に大きな転機を迎えた。当時のカルビーは、魅力的な商品や素直で愛社精神を持つ社員に恵まれながら、一方では利益率が低く売り上げも伸び悩んでいた。そこで、かつてジョンソン・エンド・ジョンソンでトップを務めた松本晃氏を代表取締役会長兼CEOとして迎え入れ、経営体制を一新。継続的成長と高収益体質の実現をめざして「コスト・リダクション(原価低減)」と「イノベーション(成長戦略)」を経営の両輪に据え、新生カルビーとしてのスタートを切った。
受け身だった社員が自立を求められたのは、まさにこの時だったと語るのは、執行役員 人事総務本部 本部長の江木忍氏だ。
「かつてオーナー企業だったカルビーでは、トップの言うことを実行できれば組織として成長できたのです。そうした状況で、社員も自然に受け身になっていったのだと思います。しかし経営が新体制となった時、トップはコスト・リダクションとイノベーションを掲げ、“実行していくのは社員一人ひとりだ、一人ひとりが自立的に成長し、それによって組織も成長しない限り将来はない”という強いメッセージを発したのです」
松本会長は言葉で自立を促すだけでなく、自ら「松塾」を開き、月に一度全国を飛び回って社員と交流。“自立的に学ぶこと、そして結果を出すこと、それが全てだ”というメッセージを自らの経験を交えて発信し続けた。ちなみに「松塾」は教育熱心な創業者一族の松尾家と、松本会長の頭文字から名付けたもの。社内の人間であればアルバイトでも派遣社員でも参加できる。
こうした取り組みにより、トップ自ら率先垂範して学ぶ風土づくりに取り組んでいる、我々も変わらなければいけない─社内にそんなムードが醸成されていった。そして変わる必要があるのは、人事部も同様だった。
5つの新・人事戦略
もともとマーケティングを担当していた江木氏が人事総務本部に異動したのは2012年。江木氏はすぐに全国各地域の人事担当者と本社の人事担当者を集めて「新人事プロジェクト」を立ち上げ、カルビーグループの人財がめざすべき姿を棚卸し、それを支援する人事のあり方を再定義した。
それが「自立的に成長し成果を出し続ける人・組織」というカルビーグループのあるべき姿であり、それを実現する人事の戦略を、以下の5つのコンポーネント(構成要素)にまとめた。
①ライフキャリアプラン
②採用・育成