おわりに 柔軟に生き残る組織づくりに必要なことは
新年号は「HRトレンドキーワード」として、しなやかな人材・組織開発に役立つ情報を取り上げた。それぞれ簡潔に振り返りたい。
【1 ニューロマネジメント】
ASTD(ATD)等で近年話題となっている「脳科学」。NTTデータ経営研究所ニューロイノベーションユニット長の萩原一平氏は、人事部門が自社社員を活性化したり、会社のめざす方向にベクトルを合わせるためには、人の動作や感情の司令塔である脳のことを知っておくべきだと語っている(28ページ)。
さらには、人種や男女などによっても脳の特性が違うため、日本企業が欧米流の制度をそのまま取り入れたり、男女で一律に人材活用を図っても有効ではないという。そうした脳の特性の違いの例と、ではどうしたらよいかという、具体策の提案も行っている。
【2 人事とビッグデータ】
慶應義塾大学 大学院経営管理研究科 特任教授の岩本隆氏は、人事部門が今後より活かすことのできるデータの種類と、その活用方法について述べた(34ページ)。
岩本氏によれば、給与、異動履歴や従業員満足度調査の結果、360度評価等々の人事関連データを分析することで、例えば、離職率と特に相関が高い因子が判明したり、業種別や職種別にハイパフォーマーが育つコンピテンシー、スキル、モチベーション、経験の組み合わせを導き出すことができる可能性があるという。これからの戦略的な人事・人材開発には、統計学が強い味方になるのかもしれない。