KEYWORD 5 ポスト2016採用
就職活動解禁日が後ろ倒しになる2016年春。
これによって、企業や学生にはどんな対応が迫られるのか。
早期の準備、インターンシップの充実などがポイントとなるが、これは実は採用活動の枠を超え、企業にはグローバル競争下での戦略変更を、学生側にはキャリアの早期選択という、本質的な変化を同時にもたらす。
就職や働き方について、企業と学生双方に対しさまざまな支援を行う小島貴子氏が「ポスト2016採用」の全貌を指し示す。
学生と企業に起こる変化
ご存じの通り、2016 年春採用から、就職活動の解禁時期が大きく後ろ倒しとなる。経団連の加盟企業およそ300社は、その解禁時期を今の大学3年生の12月から翌年3月にシフトする。また、面接など選考の解禁も、現在の大学4年生の4月から8月に遅らせる。これは安倍晋三政権の「学生が学業に専念できる環境を整えるべき」という考えを踏まえた動きだ。
この期間短縮によって、いったいどのような影響が出てくるのか、企業も大学も今、注視しているところだろう。予測としては、知名度が高い大企業に応募が集中するのではないか、4万人以上もの未就職卒業者が出るのではないかという声も挙がっている。
しかし私は、学生にとっては、企業をより真剣に見極める転機になると見ている。短期的な雇用条件だけではなく、ビジョンなどをよく把握して就職先を選べるようになる。また、社会がどのような仕組みとなっているのかを理解したり、自身のキャリアをどう形成していくのかを熟考する時間も持てるかもしれない。
そして企業にとっては、選考期間の圧縮はコストと時間の削減になるのだが、それだけにとどまらない。日本だけでなく世界から優れた人材を長期的に吟味するなど、採用のあり方を変えていく契機になる。
実は長期化する採用活動
後ろ倒しといっても、実際は選考活動が圧縮されただけで採用(就職)活動そのものが短くなるわけではない。むしろ学生は、すでに述べたように今よりも早い時期から自分で業界や企業の検討を始めることになる。
企業は、選考期間が短くなれば当然ながら、業界のライバル企業と選考日を今以上に重ねるだろう。よって、学生は従来のように、落ちては別の会社を受けることを繰り返すのではなく、最初から本命企業に的を絞った活動をする必要がある。企業側も、ほしい人材像をより明確にしなくてはならない。とりわけ重要度を増すのがインターンシップだ。Webエントリーしてきた学生をふるいにかけ、業務を体験させるインターンは、まさに採用の前哨戦と位置づけられる。
大学2年からインターン
そのインターンシップも、ここにきて大きく様変わりをしている。大学2年生から受け付けている企業が、このところ急増しているのだ。見どころがある学生には3年生、4年生になっても続けて参加してもらうことで、成長を確かめることができる。