覆面座談会 管理職のホンネ 会社全体の成長は管理職の成長から始まる
組織の管理、人材育成、予算管理など、日々、多忙を極める管理職たち。管理職自身は自分たち自身の学びの機会をどう捉えているのか――。4名の現役管理職によるディスカッションから見えてきたのは、会社の“これから”を真剣に考える管理職たちの姿だった。
「強制的でもいい」管理職教育への期待
―管理職の教育機会といえば、新任管理職研修がメインという企業が多いようです。特に既任管理職ともなると、会社主催で学ぶ機会が減ってしまう。皆さんの会社の状況はいかがでしょうか。
B氏
当社の場合、新任向けの研修の後に、通常、いわゆる管理職に就いてからの数年間は、肩書きの付かない管理職として経験を積んでいく“準備期間”があります。その期間を経た後に、リーダーとしてチームをまとめていくことになります。―研修以外にもある程度心構えができる期間があれば、いざマネジメントをすることになった時に備えて自己啓発もできますね。
A氏
当社の場合、管理職に対しメンタルヘルスケア研修が用意されています。メンタル面でケアが必要な部下には「頑張れ」といってはいけないなど、マネジメントの側面からメンタルケアを学ぶことが目的です。
C氏
当社にも管理職は受講が必須のモチベーション研修があります。ですが、管理職という役割上、業務も多くなりがちです。どうしても時間の都合が合わず、全員の出席が徹底できていないのが実態ですね。手挙げ式の受け放題の研修制度もありますが、積極的に受講している人は限られているようです。研修会場までのアクセスも決して悪くないのですが……。
―同じような課題をお持ちの企業も多いと聞きます。なぜ積極的に利用しづらいのでしょうか。
C氏
研修参加のためには、事前エントリーが必要なんです。期の始まりに受講したい研修にエントリーしなければならず、業務のことを考えるとなかなか受講する踏ん切りがつかないのかもしれません。
B氏
当社にも費用の一部を会社負担で受講できる講習制度がありますが、管理職の利用は少ないように見えます。もちろん業務もありますし、たまには部下を飲みに連れて行きたい。それにまっすぐ家に帰る日も必要ですから(笑)。言い訳みたいに聞こえるかもしれませんが、管理職が学習のための時間をつくるのは、そう簡単なことではないのかもしれません。
―人事・教育部門は、現場に配慮した研修の開催時期や時間を設定する必要があるのかもしれませんね。特に「これには配慮してほしい」といったことはありますか。
A氏
なかなか時間が取れないとはいっても、管理職向けの学びの場をもっと充実させてほしいというのが率直な意見です。一般社員の能力を底上げするためのカリキュラムは豊富ですが、管理者教育は手薄。「管理職は自主的に(勝手に)学んでほしい」というのが会社側メッセージのように見えてしまいます。半ば強制的に、もっと管理職を対象とした研修を用意してもいいと思っています。