人事の職場拝見! Vol.11 部門間の壁をつなぐ人財により “バリューチェーンイノベーター”へ変革する
エンジニアの派遣を主な事業とするVSN。同社には、実に2200名もの技術社員が所属する。客先で活躍するエンジニアは「全員VSNの正社員」というのが同社の大きな特徴だ。社員同士が離れた場所で働くという派遣業ならではの難題に挑みながら日夜、人づくりに力を入れる同社の人事を紹介する。
トップが陣頭指揮を執る人財育成の現場
「技術だけではなく、技術プラスアルファの力を持った社員に育て上げたい……。要するに“技術力と人間力を兼ね備えたエンジニア”が、当社がめざしている人財です」自社の理想の人財像をそう説明するのが、代表取締役社長の川崎健一郎氏だ。川崎氏は、人事統括部長としてVSNの人財育成全体を取りまとめる立場でもある。トップ自らが人づくりの陣頭指揮を執るということから、同社の人財育成に対する並々ならぬ強い思いがうかがえる。「当社は技術者を派遣する企業ですが、今や単に技術力を持った人材を派遣するだけでは価値として認められない時代です。市場は、価値を提供できる人材を求めています。そうした人材が集う組織でありたい。その1つの答えとして挙がったのが、当社のビジョンに掲げている“バリューチェーンイノベーター”でした」このバリューチェーンイノベーターとは、同社が独自に編み出した会社としてあるべき姿を表す言葉だ。「何か事を運ぶ時に最終的にネックになるのが“人と人とのつながり”です。企業同士の取引きはもとより、同じ企業でも部門間でそうした軋轢が生じることがあります。内部の人間は気づかないことも多いのですが、第三者の立場で働く者はそうした問題を発見しやすいものです。単なる労働力の提供ではなく、人間力を発揮して、プロセスでの問題を発見し、解決(実行)まで行うのが、当社がめざすバリューチェーンイノベーターにおける人財。まさしく派遣業という持ち味を活かした価値として提供できるものだと確信しています」