特別レポート 多様化する社会人向け語学教育 拡大に転じた語学ビジネス市場 グローバル化の進展でビジネスニーズが拡大
日本企業のグローバル化が進展する中で、ビジネスパーソンの外国語習得が必須となってきている。英語の社内公用語化を進める企業や、自己啓発制度を見直して個人による外国語習得を手厚くサポートする企業が増加しており、語学教育に対する企業の熱が改めて高まってきているようだ。そうしたなかで、語学教育サービスを提供する側の各社は、独自のプログラムや学習方法を開発し、市場の掘り起こしに努めている。そこで今回は、語学ビジネス市場の最新動向をレポートする。
2010年度語学ビジネス市場は前年度比1.6%増
ここ数年、市場が縮小し続けていた語学ビジネス業界だが、2010年度を境に拡大に転じている。矢野経済研究所が実施した「語学ビジネス市場に関する調査結果2011」によると、2010年度の語学ビジネス全体の総市場規模(周辺ビジネス含む)は前年度比1.6%増の7494億円となった。これは、2010年秋頃から景気回復の兆しが見えてきたこと、企業のグローバル化の進展や大手・有名企業の社内公用語化の影響で、ビジネスニーズが拡大したことが要因と見られている。同研究所の調査によれば、同年度の成人向け外国語教室市場の中で、趣味・教養ニーズ市場の規模が785億円、前年度比マイナス0.6%となったのに対し、ビジネスニーズ市場は前年度比2.8%増の1090億円と伸びていることがわかった。外国語習得のビジネスニーズが高いことは、他の調査からも明らかになっている。日本能率協会が実施した「当面する企業経営課題に関する調査」によると、企業がグローバル化に対応するための人事・人材マネジメント施策において「日本人社員の語学教育」を重視する声が6割近くに上がっている(かなり重視している12.1%、やや重視している47.0%/2010年11月調べより)。日本企業のグローバル化が待ったなしで進んでいる状況から、社員に外国語を習得させたいというニーズは今後ますます高まっていくことが予想される。