Column 知を美しく可視化する「読書の森」図書館 ―本がつなぐ知識と創造性の輪―
仕事で追われ、寸暇を捻出することすら難しい昨今。オシャレで、かつ一見してわかる工夫で、社員が自然に本を手に取りたくなる仕掛けがある。モバイル広告・マーケティング会社、ディーツーコミュニケーションズが行う「読書の森」プロジェクトだ。「本を読んだ人が、共感したところに付箋を貼っていく」というシンプルなものだが、社内の知を見える化し、社員の知りたい、学びたいという意欲を刺激する。ユニークな森のユニークな仕掛けについて、仕掛け人の甲斐慎一郎氏に聞いた。
本に木を植え、「共感」を可視化する
「本を読んで学んだこと、感じたことを社内で共有できないだろうか」――そんな思いから始まった取り組みが、「読書の森」だ。システムは簡単。「社内図書館」から、社員であれば誰でも好きな本を自由に選び、共感したページに付箋を貼る、というものである。付箋が「木」のデザインであるところからこの名がついた。「木がたくさん“植えられて”いるものは、一見して多くの共感を集めた本だとわかります。また、忙しい人、あまり本を読まない人も、木の植えられたページだけをチェックすれば、大切なポイントをつかむことができます。“共感”が可視化されることで、他の人の視点を知ることができ、なおかつ『読んでみたい』『自分もそこから何かを学びたい』というモチベーションも湧いてくるのでは、と考えました」(甲斐氏、以下同)図書館は社内のリラックススペースの一角に設けられている。一度に借りられる本は1冊までで、貸出期間は原則2週間。借り手は貸出カードに必要事項を記入したら、備えつけの付箋(1ケース30枚入り)とともに本を持ち出すことができる。現在、100冊の本が所蔵されているが、ただの「古本コーナー」ではない。