連載 人事の職場拝見! Vol.13 企業理念を伝承し体現する 価値を創造する人材を育成
「効きめを創り、効きめで奉仕」という理念のもと、1950 年の創業以来、独創的な医薬品の開発に努力を重ねてきた全薬工業。創業者の理念を大切にして事業を展開してきた同社では、人材育成においても理念を重視して人づくりを行ってきた。同社の人づくりを支えている理念とは何か。同社の総務人事部を訪ねた。
“その分野の経営者たれ”
1950年の創業以来、医薬品、医薬部外品、機能性基礎化粧品などの製造、販売を手がける全薬工業。同社では、『模倣せず、一歩前進した医薬品を創生し、効きめを創り、効きめで奉仕する』という創業理念のもと、事業を通じて人々の健康づくりに貢献することを信念に事業を展開してきた。
歴史ある同社が、製品づくりと同様に、全力を尽くしてきたのが、企業理念を重視した人づくりだ。同社の人材育成を統括している総務本部取締役本部長 井口敬氏は、自社の人材育成論について次のように話す。「当社には、『企業人として自分の職務を通じて鍛錬を積むことにより、自らの人間性が磨かれる』という創業時から変わらない人材育成の考え方があります。仕事を通じて社会に貢献し、さらに社員一人ひとりが成長していく。当社の歴史はその繰り返しであったといっても過言ではありません」
同社では、そうした企業の歴史や理念を社員全員が共有したうえで自発的に行動していく人材を育成してきた。「トップの考え方や姿勢をしっかりと理解できていれば、企業の代表者と同じように仕事を進めることができるはずです。経験を積むことで、当社の事業を推進してくれる人材になることを理想としています」
徹底したOJT重視から新たなステージへ
「上司に指示をされたことを実行したり、マニュアルに書かれていることをそのまま行うのは、“処理”と同じ。本当の仕事とは、事業をつくる、価値を創造することにあります。社員にはそうした姿勢で仕事に臨んでほしいと考えています」