Column うつ病は「宇宙カゼ」?面白がりつつ、前向きに―『ツレうつ。』から学ぶ、うつと前向きに付き合うコツ―
ある日、身近な人がうつ病になったらどうするか――漫画『ツレがうつになりまして。』の作者、細川貂々氏が取った行動は、気持ちを前向きに切り替え、“面白がる”ことだった。職場や家庭でメンタル不調者が出た時によく聞かれるのは、本人に対して周囲がどう接したらよいか戸惑ってしまうということ。そこで、細川貂々氏と“ツレ”こと望月昭氏の経験から、周囲と本人がうつにうまく付き合うコツを紹介する。
良くなっては悪くなり……症状に一喜一憂する日々
夫がうつ病になった経験を描いた『ツレがうつになりまして。』。作品中で作者の細川貂々氏は、ひたすら続く愚痴を「うっとーしー」と思ったり、思いもよらない行動をする様子を「宇宙カゼ」と表現したりと、思わずクスリとしてしまう“ゆるさ”で受け止める。このリアルさやユーモアが多くの共感を呼んだ。「私がうつ病になって、最終的に彼女(細川氏)が取った行動は、“面白がること”だったんです」――こう話すのは、“ツレ”こと望月昭氏だ。「選択肢は2つ。一緒になって暗く落ち込みながら解決策を探すか、あるいは自分が率先して前向きに解決策を探すか。もともと、私のほうが前向きな性格だったのですが、立場が逆転した時に彼女が選んだのは、後者の道でした」
ではなぜ細川氏は前向きになれたのか。細川氏は「選んだというより、そうせざるを得なかった」という。
うつ病は非常に浮き沈みが激しい。少し良くなったと思っても、その後一気に悪化することもある。細川氏も、最初の半年間はこの波に振り回され、疲弊してしまったそうだ。「 ツレが晴々とした顔で『もう大丈夫』というので、一緒になって喜んでしまう。でもその後がくんと悪くなるので、一緒に落ち込んでしまって……そのストレスや仕事のことも重なって、私自身も体調を崩してしまったんです。それで、このままではいけないと思いました」(細川氏)