連載 ID designer Yoshikoが行く第 58回 不景気を感じさせない欧州に新しい指標の必要性を感じた
元気ない? と思いきや
2011年末のクリスマスシーズン、ユーロ圏は経済危機に大きく揺れている……ように日本からは見えた。国債の信用不安、失業率の増大、GDPマイナス成長……。暗い数字がニュースから溢れるEUは大丈夫なのか?
そこで、確かめにやってきましたヨーロッパ!ヨーロッパのクリスマスシーズンといえば、12月の初めから年明けまで、1か月以上続く長期戦である。
まずは、イブの賑わいをチェックしに、EUダントツの景気絶好調をキープするドイツの首都、ベルリンに。空港に降り立ったとたん、「なんだ、あったかい!」。
いつもなら降雪を踏みしめ、グリューワインをフーフーしながら巡るヴァイナッツマルクト(クリスマスマーケット)だが、今年は気温が高く、出店もメリーゴーラウンドも霧雨に煙る不思議な光景だ。市内各所の無料マルクトはもちろん、入場料1ユーロのオシャレなジャンダルメン広場のマルクトも、例年以上の賑わい。地元市民と観光客がカリーブルスト(カレーソーセージ)にビールを堪能しながら、両手に買い物を抱えて歩いている。
もちろん私も買っちゃいました!若手デザイナーのiPhoneカバーやら、蜂蜜から作った伝統のリップクリームやら、アートなまな板やら……。あぁ、またドイツの経済成長に貢献しちゃった!
さてさて、ベルリンから南に向かい、ポルトガル、スペインへ。こちらはギリシャ、イタリアに次いで経済状態が危ぶまれているが、果たして街の様子はどうなのか。
まず、リスボンのベレン地区にあるジェロニモス修道院前。燦燦とふりそそぐ南の太陽を求めて来た北ヨーロッパからの観光客が、名物パスティス・デ・ナタ(卵のタルト)を食べながら長蛇の列をつくっている。