連載 グローバルビジネスに役立つ教養の本棚 第3回 ビジネスへの洞察力を高める「宗教」学習
自分は無宗教、宗教は関係ない――そう思っている人も多いだろう。だが、宗教が持つ暗黙の影響力から逃れられる人はいない。だからこそ、宗教を理解することが、ビジネスでも生きてくるのである。
心と行動を縛っている「宗教」
日本では、宗教について語ることを「難しい」「苦手」と感じている方が多いのではないでしょうか。
日本人の多くは、世界のメジャー宗教であるキリスト教やイスラム教とは別の世界で生きています。また、神仏を否定はしないものの、他人に語れるほど自覚的に神仏を信じてはいないことも苦手意識の理由です。しかし、そんな日本のビジネスの現場にも日本なりの宗教意識が入り込み、影響を与えています。
たとえば日本人の間では「縁起でもない」という言葉と感覚はおおむね共有されているといって良いでしょう。これは仏教をベースとしたものであり、外国人には的確に説明しづらいものです。
この「縁起でもない」という感覚が、ビジネス上必要な事故・失敗などのリスクを会議の席上で口に出して取り上げることを妨げさせているようなことが少なからずあります。