Opinion Column 思い+チームワーク+スキルで信頼関係を築く提案営業
国内のビール類市場が成熟期を迎える中、営業の方法も日々進化が求められる。その中でビール系飲料の課税出荷数量の国内シェアトップを誇るアサヒビール。同社ではどのようにして日々の営業活動を行っているのか。外食営業部門の部長を務める倉地俊典氏に、営業の現場におけるノウハウ、マネジャーの育成支援について話を聞いた。
商品の話をしない営業戦略とは
近年、ビール会社を取り巻く状況は厳しさを増している。周知の通り、国内大手ビール会社は当社を含め5社。出荷量・販売量が年々低下する中、市場シェアを巡り、この5社がしのぎを削っている状況だ。
私が所属している外食営業第二部は、全国系の外食チェーン企業に対して営業を行っている。担当する顧客はおよそ90社だが、うち半数以上が、現在当社の商品を導入していない企業である。
当然ながら、競合他社の顧客企業に入り込むことは容易ではない。こうした状況で営業するに当たっては、商品そのものについて話し、商品力をアピールしても太刀打ちできない。
では何をするかというと、たとえばオペレーションの改善方法やメニュー構成などについて提案するのだ。一見ビールとは何の関係もないように思えるが、こうした総合的な切り口からお客様が抱えている問題を抽出し、仮説を立て、課題解決のための提案をする――つまり飲食業のコンサルタント的な視点を持ってお客様に接することが、現在の営業に求められているといっていいだろう。