原理原則に立ち返るこう育てる! 営業人材
商品やサービスが売れない時代、企業にとって売り上げ拡大は急務であり、自社の営業には1人でも多く、“売れる”人材となってほしいところである。
1990年代から始まった営業改革、問題解決型営業への転換など、強い営業人材を育てるために企業や教育部門はさまざまに取り組んできた。
こうして新しい手法が次々と登場したが、大事なのは土台である。
そう、土台が欠けた家はまっすぐ建つことすらできない――
本特集では営業人材育成のための原理原則を探る。
御用聞き営業と提案営業のハイブリッド型営業人材を育てる編集部
売り上げ拡大を支える強い営業人材
“売れない”時代になったといわれて久しいが、その傾向はますます強くなっている。
社団法人日本能率協会が1979年から毎年実施している「当面する経営課題に関する調査」では、2011年、「シェア・売り上げ拡大」が過去約30年間の調査で初めて課題トップに挙げられた(図表1)。
長引く不況の中、ローコスト経営やコスト削減も限界に達し、いよいよ企業は収益を上げるために打って出る時期が来たのではないか。しかもこれは、日本だけのことではない。同調査によれば、中国・韓国でも「シェア・売り上げ拡大」が経営課題のトップと認識されている。
加えて、欧州危機などを鑑みれば、商品・サービスが売れないのは日本に限った話とはいえないだろう。
こうした状況下では、足もとを固めることが先決である。自社の営業人材は本当に売ることができるのか。もし、そうでないならば、彼・彼女らを強い営業人材に育て上げることが急務である。
御用聞きから提案型そして、ハイブリッド型営業へ
どうしたら強い営業人材を育成することができるのだろうか。それを考える前に、これまでの営業スタイルを振り返ってみよう。
いわゆる御用聞き営業――顧客のもとに足しげく通い、顔つなぎをして、頼まれたことは何でもする。そうして人間関係を強化し、月末には商品を押し込んで売り上げを立ててもらう――この時代には、個々人がそれぞれの得意技で顧客との人間関係をつくっていた。それが、景気の低迷とともに徐々に通用しなくなった。
そして、ムダをなくし、効率を上げ、顧客の課題を幅広くつかみ、解決することで、最終的には自社の商品を買ってもらう問題解決型営業・科学的営業への転換が起きた。