連載 ID designer Yoshikoが行く 第60回 ティッピング・ポイントを越えられる授業
「英語はどこで勉強したのですか?」 ―JICAの国際セミナーや、ASTDのメンバーとのテレビ会議の時、よく聞かれる。「海外にいらしたんですよね?」確かに子どもの頃、海外で暮らした経験はある。しかし私がいた「海外」は英語の通じない国だった。「英語は日本の中学校で学んだんですよ」と答えると、目を丸くしてビックリされる。こちらはその反応にビックリしてしまう。
そっ、そんなに日本の英語教育は、評価が低いのか?!
私が初めて英語に触れたのは、ちょうど日本に帰っていた中学1年の春。「ジス・イズ・ア・ぺン!アイ・アム・ア・ガール!」から始まる日本の教科書を開いた時である。100%国産の英語環境であった。
英語に関してかくも奥手であった私が、何の因果か米国でインストラクショナルデザインを学び、インストラクショナルデザイナーになった。そして流暢ではないにしろ、英語を遣ってのビジネスを、結構楽しんでいる。
私が英語で苦労しない理由 ―それはひとえに、中学一年で出会った、ある頑固一徹な教師の、一風変わった「英語教授法」にある。
鉛筆も持つな!?座禅のような授業
当時は相当なおじさんに見えたが、たぶん30歳前後であったその教師を、かりにK先生としよう。