連載 ワンワード論語 第5回 「義」
前回まで、人の成長プロセスの流れ(「学」「思」→「信」→「過」→「省」)を学んできました。いよいよ、今月から“仁義礼智”など『論語』を代表するワンワードに入ります。今月は、私たちは大切な判断基準、「義」を学びましょう。
義という字から何を連想しますか? マイケル・サンデル氏の“正義”、それとも年末恒例で放送される忠臣蔵の“忠義”や“義士”でしょうか。いずれにせよ、やけに画数が多く、堅苦しさを感じさせる字ですね。
● 文字の意味――「羊」?
「義」は、“羊”と“我”で構成されます。なぜ羊がいるのでしょうか。それは、このワードが生まれた頃の中国の王朝で珍重されていた動物が羊であったためです。我は、ぎざぎざとした矛を描いたもので、これらを合わせて、かどめの立った格好の良いことを表現したのが「義」です。ここから「自分の欲望や感情、私利私欲に負けずに、何が大切なのかという筋道を立てる心」という意味に発展しました。
● 義は立場で異なるもの
「義」は、自分の置かれた状況において最も妥当だと思える判断基準です。ここで重要なことが2つあります。
1つは、いざ判断を迫られた時に、その選択が最も妥当だと自信を持てるように、普段から何が最も妥当なのか、学び思案しておくことです。えいやっ!とか、だろう・よかろうで判断すると、周りや常識からずれていることがよくあるもので、周りから「あの人外れているな」と評価されます。