人材教育最前線 プロフェッショナル編 未来に希望が持てる教育の実現が教育担当者の使命である
ソフトウェアのテスト・評価を行う検証事業のリーディング・カンパニーとして各種検証サービスを展開するベリサーブ。第三者検証という中立的な立場から企業の製品開発におけるソフトウェアの検証をサポートしている。同社の教育部門を立ち上げ、体系的な教育システムを構築したのが管理本部教育部部長の小林大輔氏だ。小林氏は高校教師、障がいを持った方に仕事を教えるジョブコーチという経歴を持ち、現在は企業の教育責任者であり、現役の研修講師として社内外で活躍している。豊富な教育経験を持つ小林氏に、人材育成に対する思いを伺った。
原点は建築現場で身につけたマネジメント
小林氏が教育部門の責任者としてベリサーブに入社したのは2007年。それ以前は、高校教師、そしてジョブコーチという職業に就いていた。「よく異色の経歴だといわれますが、教える対象がその時々で異なるだけで、やることは変わりません。ずっと人を育てるということを追求してきました。」
そんな小林氏のマネジメントの原点は、10 代の頃に建築現場で身につけた厳しくて実践的なマネジメント術だという。
マネジメントの壁を打破した心理学
1996 年、小林氏は私立高校に赴任し、いきなり40名学級のクラス担任を任せられる。「正直、驚きました。学校側も未経験の私に担任を任せるのは冒険だったと思います。当時は大変でしたが、早くから良い経験をさせていただき、本当に感謝しています」
小林氏は自分の理想とする教師像に近づくために、睡眠時間を2~3時間に削って、クラス運営や、実践的な指導の勉強に明け暮れた。その努力が認められ、進路指導、生活指導、教務などの重職も任せられるようになる。
だが一方で、マネジメントの壁にぶつかる。10 代の頃に建築現場で培ったマネジメント術は厳しさを前面に出すスタイルだった。生徒の性格やその時の状況によって多少、強弱をつけていたものの、いじめや、不登校など、厳しさだけでは対処できない現場の諸問題に直面し、厳しさの限界を感じるようになった。とはいえ、甘やかしてばかりでは、生徒は成長しない。
それ以降、小林氏は一人ひとりの生徒に合わせた指導法を身につけるべく心理学の勉強を開始。人の心を深く捉えるコーチング、カウンセリングなどの技能を習得する。行動や発言だけでなく、顔色、表情、目の輝きや動きなどから、生徒の心を読んで対応していたという。また生徒全員の家族構成を頭に叩き込み、長男長女と末っ子では指導法を変えていたという。