ワンワード論語 第6回 「礼」
日々前進し続けるためには、今までの自分の心構えや言動を「省(かえりみる)」ことが大切です。
省みるポイントとして前回「義」を学びました。
今回は人間関係において欠かせない「礼」を学んでいきましょう。
“礼を失する”、“非礼を詫びる”、“失礼な態度”などと、私たちは何気なく「礼」というワードを用いています。さて、その「礼」とはいったい何でしょうか。作法、ルールやマナーなどを思いつきますが、実はそれらは枝葉末節に過ぎません。
● 「礼」とは?
孔子の説く「礼」とは、相手を尊重する心、人間関係における潤滑油であり、『論語』全500 章句のうち、4 4章句で説かれる重要なワードです。相手を尊重する心がなければ作法もルールも意味がありません。たとえば、見た目は礼儀正しいのですが誠意や敬意を感じられないことはありませんか。その人は相手ではなく自分を尊重しています。私たちの感度は敏感なので、瞬時に相手の本心を見抜くのです。
● 「礼」と「和」
今月の論語1
は名文中の名文ですが、なんとなく見覚えがありませんか。それは、『論語』を読んだことがなくても、“ 和を以て貴しと為し、忤うこと無きを宗とせよ。”を学校で習ったことがあるからです。『論語』を学んだ聖徳太子が、十七条憲法の第一条に引用したんですね。「和」とは調和・折衷・相互理解のこと。これを読むと、何よりも「和」が大切だと理解できます。とはいえ、バランスを重視する孔子は、むやみに「和」を大事にしなさいとは説いていません。