連載 人事の職場拝見! 第26回 ユー・エス・ジェイ
“自らバットを振れる人材”をマインド変革と風土づくりで育てる
世界最高のエンターテインメントを提供し、子どもから大人まで幅広い年代の人たちがみな心から楽しむテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン®」。その運営を行うのが、ユー・エス・ジェイだ。夢の世界の裏には、同社人事部の工夫と努力があった。
求めるのは積極的にバットを振れる人材
ユー・エス・ジェイでの人材育成や人材活用の基軸となっているのが、「Everything is possible. Swingthe bat! Decide now. Do it now.」という同社のスローガンだ。人事部・キャリアディベロップメントチーム・マネージャーの梅原千草氏はこう語る。「このスローガンには、“どんなに困難に見えても不可能なことなどない。だから、常に努力を重ねて自分を磨き、目の前にチャンスがきたら、自信を持ってバットを振ってほしい”というメッセージが込められています。これを体現していける人材をいかに増やしていくかが、人材育成の最大のテーマです」 同社の教育体系は「USJマインド(スローガンの体現に必要な価値観や姿勢、考え方)」「ビジネススキル」「プロフェッショナルスキル(専門分野に関する知識やスキル)」の3つ。「今、特に力を入れているのはマインドの部分。でも、スキルが身についていなければ全力でバットを振ることはできませんから、3つの軸をバランス良く高めていけるような教育プログラムを提供しています」
対話型のプログラムで縦×横のつながりを強化
Swing the bat!の体現を可能にする“マインド”を醸成するための取り組みの1つが、経営層と従業員の間の“縦のつながり”を強固にするプログラムだ。たとえば2010 年には、各部の部長が自身のキャリアと、統括している部門の方針を語る“GMセッション”を実施。各人の持ち時間は90 分で、1カ月ほどかけて15人の部長全員が行った。「 自分で判断して積極的にバットを振るためには、従業員一人ひとりが経営層の考えをより深く理解し、自分が経営を担っているという姿勢で取り組むことが重要です。一昨年には、お酒を飲みながら経営層と従業員が自由に語り合う“ユニバーサル・バー”も開講しました」 一方“横のつながり”を密にするために立ち上げたのが“ユニバーサル・カフェ”というプログラム。全社員参加で、1回に各部署から30人ほどの社員を集め、ワールドカフェ手法を用い、パークの未来について意見交換している。「日頃あまり接点のない職種の人たちが一堂に会することで多くの気づきがあり、仕事に対する視野を広げることにもつながっています」 この“ユニバーサル・カフェ”から派生したのが、勤続年数も部門も多種多様な8~ 10人が社員食堂に集まって、昼食を食べながらコミュニケーションをとる“Uni-gohan”だ。前回の参加者からバトン(参加者の写真やメッセージを記録したフォトアルバム)を受け取った人が次回の参加者となるので、当日まで誰が参加するかわからないという、ちょっとワクワクするようなイベントだ。