今月のNEWS
管理職のWLBの現状とWLB支援のための職場マネジメントの課題
ワーク・ライフ・バランス推進・研究プロジェクトによる調査発表
●東京大学社会科学研究所 ワーク・ライフ・バランス推進・研究プロジェクト
東京大学社会科学研究所では、民間企業6社と共同で「ワーク・ライフ・バランス推進・研究プロジェクト」(代表東京大学社会科学研究所佐藤博樹教授)を2008年10月に発足させ、企業のワーク・ライフ・バランス(以下WLB)推進と働き方の関係に関する調査研究を実施している。
今回の研究は、「社員のWLB実現には管理職の職場マネジメントのあり方がカギとなる」という2008年の調査結果を踏まえ、従業員規模50人以上の民間企業の正社員で、自分が人事考課をする部下がいる管理職を対象に、管理職の働き方や職場マネジメントの実態を把握するために実施された。有給休暇の取得率と在社時間の関係をみると、在社時間12時間以上の管理職の有給休暇取得率は「1割以下」が38.6%、「1~2割以下」が31.9%で、在社時間が長いほど有給休暇取得ができず、長時間労働であることがわかった。また、部下のWLB満足度が高くかつ仕事効率性や労働意欲が高い職場では、管理職が部下を適正に管理する能力が高く、かつ所定労働時間内で仕事を終えるといったWLB意識も高いのに加え、勤務先もWLB支援への取組や労働時間管理の改善に向けた取組に積極的であることがわかった。同プロジェクトでは、調査結果を踏まえて「職場のWLB実現に向けた提言」を発表している。内容は次の通り。
■提言1:WLBと職場生産性向上の両立には、管理職が部下の業務遂行状況を把握し支援する能力を高めることが重要。
■提言2:WLBと職場生産性向上の両立には、管理職自身がメリハリをつけた働き方を実践し、所定内労働時間で仕事を終えることを推奨する意識を持つことが重要。
■提言3:労働時間・休息・休日に関する労働基準法上の規定の適用から除外されている管理職も、「適正な部下管理」が実行できる時間を確保できるようモニタリングすることが重要。
■提言4:会社によるWLB支援への取り組みや労働時間管理の改善に向けた取り組みは「管理職のマネジメント力」を高めることから、組織的に取り組むことが重要である。
問い合わせ
東京大学社会科学研究所
TEL:03─5841─4955(4875)