インストラクショナルデザイナーがゆく 第40回 米国発『ペット救急法』に上司の心得を垣間見た
意外と似ている「人対ペット」と「人対人」の関係
かっこいい“イケメン”、育児にがんばる“イクメン”に続く、第三のモテ男子って、ご存じ?
それは、“イヌメン”!
仕事ができ、オシャレで、ペットの犬を家族のように愛する心優しさも持ち併せる男子のこと。なるほど公園でも浜辺でも、トイプードルやミニダックスフンドなどの華奢で小奇麗なイヌをお供に、軽くジョギングしている男子が最近とみに増えている。すれ違いざまに振り返り、「カワイイッ!」などとつぶやきながら、ペットを眺めるふりをして飼い主に見とれてしまうのは、私だけではないだろう。
だから、「“イヌメン”を対象とする米国のトレーニングを日本に導入する」と聞けば二つ返事でお手伝いさせていただくのは当然のことである。……いえ、下心なんてゼンゼンありませんよ、ホントに!
というわけで今回、非常に前向きに取り組んだのは、『ペットの救急法(Pet First Aid)』というトレーニング。これは、ペットと飼い主(もちろん女子も含む)のより良い関係をめざして、さまざまな情報や教育トレーニングを提供している米国のペッツ・アメリカ(Pets America)の、インターナショナル・トレーニングセンターが提供する認定コースである。『ペットの救急法(Pet First Aid)』は、ペットの体調が悪くなった時や事故に遭った時に、病院に連れて行く前の処置として、飼い主が身につけておくべき救急救命の知識と技術を提供するもの。米国では、災害時のペットの救急法を中心に普及していったが、最近は特に都会に暮らす若い層へのアピールに力を入れているとか。米国でも、若い人のペット人気は高まる一方だが、やはりスタイル重視で命が大事という意識が少ないために、「助かる命が助からない」ことが多発しているという。だから、こうした飼い主に対するトレーニングが盛んに行われており、eラーニングコースも提供されている。
──なるほど、理想の“イヌメン育成”はグローバルな課題、というわけですな。
では早速、その内容の一部をご紹介しよう。まず、緊急時の飼い主の対応について。ペットが事故に遭ったり、急に体調が悪くなった時、一番大事なのは慌てないこと。一瞬の“間”をおいて落ち着き、次に周囲とペットのコンディションを冷静に“観察”することが、その後の安全でスムーズな救助活動につながる。