調査レポート 「Assessments 2011: Selecting and Developing for the Future」より データからわかる北米企業のアセスメント活用状況
北米を中心とする海外企業の8割強がアセスメントを導入しており、とりわけ業界をリードするトップ企業ほど、人材活用や育成のために戦略的にアセスメントを活用しているという実態が明らかになった。「Assessments 2011: Selecting and Developing for the Future」の調査から、北米企業を中心とする海外企業の最新のアセスメント活用状況を紹介する。
北米ではスタンダードとなっているアセスメント
リーダーシップのアセスメントに最も早い時期から取り組んできた米国の人事・人材開発のコンサルティング会社PDI Ninth Houseでは、Aberdeen Group(以下アバディーン)と共同でアセスメント調査を行った。アバディーンは米ボストンに本社を構える、全米でも有数のリサーチ企業である。本調査は、2011年3月~4月にかけて北米を中心とする企業(一部、欧州、中東、アジア太平洋、南米の企業を含む)に対してオンラインで実施された。今回の調査で最も顕著だったのは、回答した640社のうち実に8割強に当たる516社がアセスメント(シミュレーション型アセスメントや各種テスト等を含む)を導入していることである。なぜこれほどアセスメントが必要とされているのであろうか?この問いへの回答として考えられるのは、人の能力やスキルを、構造化されたツールなしで客観的に測定・評価するのは非常に難しいからである。主観を極力抑え公正な評価を行うために、構造化されたツールとしてアセスメントが活用されているのである。事実、北米の多くの企業では、戦略的な人材の活用や育成といった観点から、アセスメント結果を社内選抜、採用、昇進昇格、後継者育成、能力開発などの重要施策に活用することが一般的となっている。今回の調査で回答があった516社のアセスメント導入理由のうち、最も多かったのは、「組織全体のあらゆる階層でより質の高い人材が必要」(60%)であり、次いで「ビジネス環境の変化により、これまでとは違った新しいスキルが求められる」という回答が32%、さらに、「リーダーシップ・スキルの不足」も30%にのぼった。次に、アセスメント結果の活用目的としては、「より優れた候補者を選抜することでビジネス成果を上げる」が70%、「変革と成長を促進するリーダーを輩出する」が48%、「新規採用者を組織へと適合させる」が46%と続いている。当然のことながら、多くの企業は、人材の適材適所が企業の成功の鍵となるということに気づいている。すなわち、人材を適切に見極め育成することで企業の戦略性が向上し、またリーダーに社内の変革と成長の促進役を担ってもらうことで結果的に業績アップにつながるということを肌身に感じているのである。