企業事例3 自他の特性を察知する力が チーム力向上につながる
富士通セミコンダクターでは、中堅社員の昇格者研修に、「メンバーシップ」の発揮状況――チームの中で仕事をするうえで必要となる個人の資質の発揮状況を把握できるアセスメントを組み込んで実施している。客観的に自己分析ができるアセスメントは、設計エンジニアが社員の80%以上を占める同社で好評を博し、人材育成に大いに役立っているという。
“メンバーシップ”と組織の多様性を知る
LSI(ICチップをはじめとする集積回路)などに関する分野に特化した事業を展開する富士通セミコンダクター。2008年3月にLSI事業を分社化し、富士通マイクロエレクトロニクスとして設立。2010年4月、現在の社名に変更した。同社では、30代前半の昇格者を対象とした研修にアセスメントを組み込んでいる。組み込まれているアセスメントは、「メンバーシップ」――チームの一員として状況に合った行動を取るために必要な資質を診断するもの(図表1)。アセスメントである1人が自分の傾向に気づき、良い方向に変化(成長)するということは、その1人が所属するチーム全体に良い影響を与えることなのだ。具体的には次の2つの側面からメンバーシップの発揮状況を把握する。
1.エモーショナル・インテリジェンス人に働きかける際に、自分の感情を率直に伝えたり、相手の感情を気遣うなど、感情の活用の程度を測定する。感情をうまく活用することが組織で活躍する重要なポイントであるからだ。2.行動スタイルの多様性日頃ストレスがかかったり、問題が起きたりした時にどのような行動を取りやすいか、また特定の行動に頼り過ぎず、複数の選択肢を使い分け柔軟に行動しているかを測定する。