企業事例2 自らの現在位置を知り、 自己成長へつなぐアセスメント
東急リバブルでは、階層別教育の一環として、新任の部長職とリーダー層に対してアセスメントを実施している。同社においてアセスメントは、客観的に自分の現在位置を認識し、求められる役割に向けて成長を促すためのツールとして位置づけられる。どのようにアセスメントを活用し、組織の中核を担うマネジャークラスの自己成長を支援しているのだろうか。
マネジャーの課題解決力と対人能力を客観的に測る
不動産流通ビジネスを展開する東急リバブル。同社では、新任部長職と新任リーダー職(同社の職能資格制度でいうPM1級)の社員に対して、アセスメントを実施している。同社がこの層を対象としてアセスメントを本格的に研修に取り入れたのは2006年のこと。当時は部長職のみを対象としてアセスメントプログラムを導入した。「アセスメントの特徴は、世間一般の水準と自社の人材スキルを公正に比較できるところにあります。そこで当社でも、部長職の課題解決能力や対人能力が現在どの水準にあるのかを棚卸しておきたいという考えが根底にあり、アセスメントを導入しました。さらに、部長職という新たな役割を付与されるにあたって、今後期待される遂行能力と現時点の自分の能力とが、どの程度一致または乖離しているかを客観的に把握して、自己課題を明確にしてほしいという当時の経営陣の想いもありました」(人材開発部長今野 一男 氏)同社で取り入れているアセスメント手法は、アセスメントセンター方式のものと、個人特性を測る適性テストの2種類。2日間にわたる研修に組み込まれている(図表1)。アセスメントセンター方式とは、マネジメント層に必要な実務能力を評価する手法の1つ。主にシミュレーションを用いて、管理職に求められるコンセプチュアルスキルやヒューマンスキルを測り、管理職適性を診断するものだ。一方、適性テストは、一人ひとりに備わった固有の「持ち味」と、その行動への表れ方を左右する「メンタルヘルス」の両側面から個人の特性を把握するためのもの。同社ではかねてからこの適性テストを採用に活用してきたが、その実績から信頼性が持てるとし、管理職のアセスメントにも導入した。単なる性格診断と異なり、各人の持ち味が長所として表れた場合は“強み”として、短所として表れた場合は“弱み”として客観的に把握することができるのが特徴である。