企業事例(読む①) TKC 読書を習慣化する仕組みで自分軸を持つ人を育てる
会計事務所や地方公共団体などの専門業務を、情報テクノロジーを使ってサポートする事業を展開するTKC。
同社では、創業時から社員に読書を奨励する制度を取り入れてきた。
読書を知識・スキルの向上と自分の考えを相手に伝える能力の強化に役立つものと位置づける、同社ならではの読書制度を紹介する。
専門家とのビジネスには読書が必要不可欠
TKCは、会計事務所およびその関与先企業、地方公共団体へソフトウェアや情報処理といったサービスを開発・提供する企業である。同社では、社員の「読む力」を強化するために、書籍購入費を会社が支援する制度を設けている。社員教育を長年担当してきた代表取締役副社長の岩田仁氏は、社員に書籍を読ませる理由をこう語る。「当社のメイン顧客は、税理士や公認会計士、地方公務員です。税務・法律、行政などの専門分野のプロである顧客との知識量のギャップを埋めるには、読書を通して知識を吸収する以外に方法はありません」(岩田氏、以下同)
同社では、会社の伝統として読書を重んじてきた。そもそも、税理士・公認会計士で、同社の創業者である飯塚毅氏は、業務に関する書籍を無制限に送るよう書店に依頼したという逸話が残るほど、大の読書家だった人物だ。
しかし、同社が読書で社員に学んで欲しいと思っているものは、専門知識だけではない。「たとえば、飯塚が執筆した『自己探求』には、自分自身を見つめ、自己理解をすることの重要性が記されています。当社が求める人材像は、世の中のセオリーを理解しつつ、自分で正しい決断ができる人。自分の判断軸を持って、専門家と話ができるような人になって欲しいのです。そのためにも、幅広いジャンルの書籍を読むことが必要だと考えています」