Various way to read さまざまな読む力──階層・職種別で異なる読む力
「読む力」とは、「本を読む」などの読解力だけではない。「市場を読む」といった分析力や、「意図を読む」「表情を読む」などの、人の気持ちや目に見えないものを察知する力も指す。
これらの読む力は、階層が上がるにつれて向上・拡大していくものであり、職種によって求められる種類も異なる。さまざまな読む力を見てみよう。
世相を読む
情報から「今」を取捨選択する
情報があふれている今の世の中、新聞は、「今これがニュースですよ」とコンパクトに切り取って見せることができる媒体です。新聞社デスクの役目は、記事として掲載する情報を取捨選択すること。そのためには「世相を読む」ことが求められます。
記者時代は、人に会って話を聞き、できる限りの情報を収集してくるのが仕事でした。デスクになると、それらの情報から、今まさに世間で何がニュースとされているのか、どういったことが読者の関心を惹きつけるかという点を判断基準に、誌面に載せる内容を再構成しなければなりません。記者が集めた情報の新しい点や、背景について会話を通じて確認し、今ニュースなことを見極め、それ以外の情報は捨てる。読者を迷わせないためにはできるだけ簡潔にする必要があるからです。
もちろん、いつもベストの判断ができるとは限りません。この判断力は、読者の方からお便りをいただいたり、他のメディアに取り上げていただいたりといった、読者の反応に鍛えられてきた部分も大きいですね。
判断の方法はデスクによってもそれぞれ異なりますから、その姿を見て学びながら、「読者が記事に関心を持つか」を常に自分に問いかける毎日です。
また、「今ホットな情報」を把握するためにも、毎日のニュースや、話題の書籍や映画はできる範囲でチェックしています。それだけではなく、日々の生活での皮膚感覚は重要ですね。スケジュールが変則的になりがちな仕事ですが、意識的に子どもの行事に参加したり、できるだけ多くの人に会ったりするようにしています。
というのもやはり、そうした日常からこそ見えてくるニュースがあるから。記者やデスクも1人の生活者。当たり前のこと、日々の現実に真摯に向き合うことが大切だと考えています。