フィンランド コミュニケーション教育の重要なヒント 今、日本で求められる「ことばの力」
さまざまな人が協働する現代社会では、かつてのように“あ・うんの呼吸”が通じなくなり、代わりに、言葉をつくして、わかり合うことが求められている。そんな今、日本人に必要なのは、言葉の限界を知りながらも、言葉の力を鍛えることだ。
変わる日本社会必要なのは?
日本で今、「ことばの力」が求められている。ことばの力とは、読む・書く・話す・聞くという、言葉の基本的な運用能力である。今、その力の必要性が改めて強調されているのは、日本社会における多様化が加速し、本格的なダイバーシティー時代が到来したからだ。
ダイバーシティーの最大の魅力は、異なる価値観を持つ人々が出会うことで、新たな価値が生み出されること。だが、当然ながら摩擦も起こる。
たとえば日本企業では定年が延長され、世代の多様化が促進されている。組織内に非正規社員が増え、働き方や立場の違いから生まれる多様化もある。組織内の多様性が拡大した結果、チームワークを成立させる難易度が格段に高まった。このように多様化が進んだ場所で求められるのが「ことばの力」だ。ことばの力を使って、「私にとって大切なこと」と「あなたにとって大切なこと」を明らかにしながら、ともに受け入れられる「私たちにとって大切なこと」を導き出すのである。
「線型の理論」と「点型の理論」
「ことばの力」について考えるうえで、最低限理解しておくべきことがある。「線型の理論」と「点型の理論」についてだ。